
ハイスペックな機材でも、緻密な技術でもない。
何気ない風景にふと光が差し込み、被写体との距離感がシンクロした瞬間にこそ、「写真の魔法」が宿る——今回は広告写真の世界で長年活躍しながら、トイカメラ「デジタルハリネズミ」で独自の表現を追求し続けるカメラマン、yasunosakataさんにお話を伺いました。










もともと写真よりも映画に夢中だったというyasunosakataさん。
学生時代は映画研究会に所属し、8mmフィルムで作品を撮ったり、年間1000本もの映画を観ていたそう。
「当時は“映画小僧”でしたね(笑)。カメラにはあまり触れていなかったんです」
そんな中、ある日ふとコンパクトカメラで撮影した写真を、友人たちに「いいね!」と褒められたことが転機に。
「それでいい気になって、ちゃんと写真をやってみようと思ったんです(笑)。そこから一気にのめり込みました」
プロカメラマンを志し、写真制作会社に勤務。スタジオからロケ撮影まで様々な現場を経験し、現在は広告写真のフリーカメラマンとして活動する一方、趣味としてInstagramでの作品投稿も続けています。

どんなシーンに魅力を感じ、シャッターを切っているのでしょうか?
「まず意識するのは“光”です。そして、被写体と自分との距離感。この2つがシンクロした時が、シャッターのタイミングですね」
風景や被写体との距離感は、そのまま写真の空気感に現れる。あえて演出せず、その場で感じたままの空間を切り取る姿勢が、yasunosakataさんのスタイルです。
プロの現場ではCanonの5Dシリーズを使用。一方、プライベートの撮影ではあえて“自由がきかない”トイカメラを選んでいます。
「インスタに載せている写真はすべてデジタルハリネズミで撮影しています。デザインもかわいくて一目惚れでしたし、独特のトーンが僕好み」
一番の魅力は「思い通りに写らないこと」。
「技術でどうこうできない部分が多くて、感性と絵心がすべて。撮影技術をあえて放棄させられるような、ネガティブさに惹かれたのかもしれません(笑)」
印象的な撮影エピソードを伺うと、こんなエピソードが。
「特に劇的な出来事はないのですが、インスタにアップした写真を見た方に『どんなカメラで撮ってるんですか?』と聞かれることが多くて。
『デジタルハリネズミです』と答えると、皆さんすごく驚かれます(笑)」
性能に頼らない、感性重視の写真だからこそ、心に残るものがあるのでしょう。
おすすめの撮影スポットについて聞くと、少し意外な答えが返ってきました。
「特にこだわりはありません。仕事で訪れた場所で、ふと気になった空間や光に出会った時に、さりげなく撮影することが多いですね」
ただ、後から写真を見返してみると、ある傾向があるそうです。
「都市のビルの隙間や川沿いの風景、身近に咲く花、水面や硝子の反射……
忘れ去られてしまいそうな被写体に惹かれている気がします。そこに光が射した瞬間、イメージがリンクするんでしょうね」










yasunosakataさんの写真には、日常の中の「はかない美しさ」や「記憶の断片」のような雰囲気が宿っています。
特別な場所ではなく、ありふれた風景にこそ、感性のアンテナを張ってみたくなる。
そんな気持ちにさせてくれるインタビューでした。
今後も、“光と距離”に導かれて切り取られるyasunosakataさんの世界に注目です。

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カメラ歴35年ほど。 広告写真の制作会社を経てフリーランスカメラマン。広告写真の撮影の傍らインスタグラムにてトイカメラで撮影した写真を掲載しています。
yasunosakata さんの使用カメラ
カメラ歴35年ほど。 広告写真の制作会社を経てフリーランスカメラマン。広告写真の撮影の傍らインスタグラムにてトイカメラで撮影した写真を掲載しています。
yasunosakata さんの使用カメラ
yasunosakata さんの使用レンズ