今回のレンズはソニーEマウントの35mmフルサイズ用ズームレンズ、FE 20-70mm F4 G SEL2070Gです。
20mmから70mmまでのズーム域をF4通しで撮影でき、描写力も優れたGレンズです。
いわゆる「標準ズームレンズ」と呼ばれるレンズは焦点距離が広角〜標準域のズームレンズを指し、特に24-70mmのズームレンズはその使いやすさからプロにも愛用されてきました。
今回レビューするFE 20-70mm F4 Gは広角端が20mmとさらに広くなっており、より表現の幅が広がるレンズになっています。
作例のパートでは、この4mm広がった広角側の表現も味わっていただけると幸いです。
2023年2月に発売され2年以上経過していますが、広角20mmスタートの標準ズームレンズは他になく唯一無二の存在です。
作例の前に、FE 20-70mm F4 G本体の外観から。
本体重量は488g、レンズの全長は99mmです。
私は焦点距離の似ているFE 24-105mm F4 Gのレンズも使用したことがあるのですが、比べて圧倒的に軽く、一回り小さいレンズに感じました。
軽さ、コンパクトさはカメラを持ち出すうえで非常に大切なポイントです。
また、本レンズには写真のみならず動画撮影にも便利な機能が備わっています。7つある機能を順番に紹介します。
レンズ先端に近いリングがフォーカスリングです。
今回の作例撮影では、すべてAFで撮影したためフォーカスリングを使用しませんでしたが、トルクがかなり軽いためピント微調整に使用するときは慣れが必要だと感じました。
レンズ中心部の持ちやすい位置にあるのがズームリングです。
指標は20, 24, 28, 35, 50, 70と一般的な使いやすい焦点距離が示されています。
ズームリングの回転角は約90°と浅いので、レンズを持ち変えることなく20mmから70mmに素早くズームできます。
レンズの根本にあるリングは絞りリングとなっていて、F4からF22までの1/3段刻みの切り替えとF22の隣にはAポジションが用意されています。
ズームリングと絞りリングの間には段差が設けられているため、誤って別のリングを回さないような工夫がされています。
フォーカスホールドボタンは、構えた際に左手親指で押せる、カスタマイズ可能なボタンです。
ドライブモードの呼び出しや、瞳AFなど自分の使いやすい様にカスタマイズできる便利ボタンです。
縦位置で構えたときも押しやすいように合計2箇所、搭載されています。
AFとMFをレンズ側で素早く切り替えるためのスイッチです。
シンプルなスイッチですが、何かと便利なスイッチです。
ロックを有効にすると、絞りリングのF22とAポジンションの行き来ができなくなります。
誤って絞りが変わるのを防ぎます。
絞りリングは通常、回したときに1/3段ごとにクリックがありますが、クリックオフにするとシームレスな絞り操作が可能となります。
動画撮影には便利な機能です。
私は普段からソニーユーザーのため、同じように絞りリングやフォーカスモードスイッチが搭載されたレンズを使用してきました。
数世代前のレンズと比較して、絞りリングのクリック感が強まっていたり、フォーカスモードボタンの引っかかりが最小限になっていたりと細かいところで誤作動がより起こりにくいような改良がされていると感じました。
使用したカメラはα7Ⅲ、作例はすべてJPEG撮って出しです。
京都駅とその近くの東本願寺をスナップしてきました。
まず気になるのは広角20mmと望遠70mmでどのくらい違うかということ。
この作例は京都タワーから700mほど離れた位置から撮影しています。
1枚目が広角端20mm、2枚目が望遠端70mmです。
1枚目は松の木の下で撮影したため、写真上部には松の枝、下部には植栽と堀が見えています。
中心に捉えた京都タワーはかなり小さく写っていて、歩くにはまだまだ遠いような距離感に感じます。
一方2枚目の70mmは、先程写っていた松の枝や手前の植栽は映らず、京都タワーもかなり大きく写っています。
拡大すると、京都タワーの展望台に人影も確認できました。
1本のズームレンズだけでこれだけの違いを表現できるのはかなり面白いです。
次は段階的にズームしてみました。
▼20mm
▼24mm
▼28mm
▼35mm
▼50mm
▼70mm
一般的な標準ズームレンズでは、広角端が24mmや28mmで設計されることがほとんどです。
しかし、本レンズが広角端が20mmスタートのため更に広く撮影が可能です。
20mmでは左下の人物が全身含め余裕で写真内に収まっていますが、24mmでは足が切れ、
28mmでは画面外に出てしまいました。
広角での4mmの違いは、写真ではこれほど大きな差となって現れてきます。
この作例は京都駅の回廊から撮影しており、京都タワーと交差点の横断歩道をスッキリ収めたいと思い撮影しました。
このときの焦点距離は33mmでした。
同じ場所から今度はカメラを横に構えて奥の山と空の境界線で写真を三分割するように撮影しました。
このときの焦点距離は43mmでした。
ズームレンズのいいところは、焦点距離の微調整ができるところにあります。
撮りたいものが決まった後に画角を調整して、構図が整ったときはかなりの気持ちよさがあります。
また、このレンズは488gと軽量なため、携帯性が良く、色々なものを撮影するスナップ撮影において機動力が高いこともメリットの一つです。
やはりこのレンズの一番の特徴は広角端20mmです。
大きなものに近づいて撮影することにより、対象物に迫力を持たせることができます。
見慣れたものでも、広角で撮影すれば違ったように見えることもあります。
また、広角は撮影ポジションやアングルによって見え方が大きく変わるため、
カメラ位置を下げてみたり、大きく見上げてみたりすると面白い写真が生まれやすいです。
最後に、どこまで近づいて撮影できるかの検証です。
ソニー公式サイトによると、広角端20mmで30cm、望遠端70mmで25cmまで近づけるとあります。
そのため、望遠70mmで寄って撮影するとかなり大きく撮影することができます。
最大撮影倍率が0.39倍のため、一般的な他のレンズと比較してもかなり大きく撮影できます。
今回のベストショットは、エスカレーターの1枚です。
ちょうどエスカレーターの上から太陽の光が差していて、エスカレーターに乗っている男性がシルエットとなって浮かび上がっています。
シンプルながらも逆光の光がかなり印象的な1枚となりました。
F4のレンズなので、決して大きなボケは期待できず、暗いところも苦手ですが、20mmという他のズームレンズにはあまりない焦点距離からスタートし、70mmまでをカバーする描写も十分すぎるほどのズームレンズです。
広角になればなるほど、周辺のものが写真に入り込むため構図をまとめるのは難しくなりますが、うまく撮影できたときはかなりの達成感が味わえます。
もちろん、ズームして画角を調整することも可能なため、風景、ポートレート、スナップなど、用途を選ばずどんな場所でも使いやすいと感じました。
広角に飽きれば望遠で撮る、望遠に飽きれば広角で撮る。どんなときでもお供になりうる懐の深いレンズではないでしょうか。
アールイーカメラは、2007年に「株式会社アキバ流通」として神田佐久間町で 創業し、家電卸売業と並行してカメラの買取販売を開始しました。 その後、2009年に外神田へ移転し、事業規模を拡大。2015年には現在の店舗がある御徒町へ移転しました。2018年からはカメラ事業に本格的に注力し、 「アールイーカメラ」としての活動をスタート。 現在に至るまで、カメラ愛好者の皆様をサポートし続けています。
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