光が描く、儚くあたたかな時間
淡く、やわらかく、そしてどこか懐かしい。
Ruiさんの写真には、消えてしまいそうな光とともに、人の記憶をやさしく撫でるようなあたたかさがあります。
「夢幻泡影(むげんほうよう)」——儚いけれど確かに存在する一瞬を、彼女はフィルムとデジタルの両方で丁寧にすくい取ります。
今回は、そんなRuiさんに“写真と生きる時間”についてお話を伺いました。
FE 35mm F1.4 GM
■ カメラとの出会いは「自分の世界を形にできる喜び」
幼い頃から絵を描いたり、ものを作ったりと表現することが好きだったRuiさん。
しかし「思い描いたものを思うように形にできない」もどかしさも抱えていたといいます。転機となったのは、大人になって出会った友人のフィルム写真。
「ファインダーを覗くと、自分だけの映画の世界が広がっていて、ドキドキが止まりませんでした。」
現像して返ってきた写真に、自分の思い描いた世界が宿っていたときの感動は今でも忘れられないそうです。
そこから、フィルムカメラへの情熱が一気に高まりました。
■ 「日常の光」に宿る、美しさと儚さ
撮影で惹かれるのは、特別な風景ではなく何気ない日常の一瞬。
「木漏れ日や光と影、日没間際の少し寂しげな光が好きなんです。」
Ruiさんにとって、光は単なる明暗ではなく“感情を映し出すもの”。
一瞬の輝きが過ぎ去ってしまうからこそ、その儚さに心を動かされるのだと語ります。
■ 愛用する機材たち ― フィルムもデジタルも、光を描くために
CONTAX Aria
「カール・ツァイスのレンズの写りがとにかく好き。光の捉え方、空気感、質感…全部がたまらないです。」
OLYMPUS PEN-FT
「ハーフカメラなので、通常の倍の枚数が撮れるんです。見た目もかわいくて、つい持ち歩きたくなります。」
SONY α7Ⅳ
「“クリエイティブルック”という機能で、撮影の段階から色味や質感を作り込めるのが魅力です。自分の世界観をリアルタイムで表現できるところが気に入っています。」フィルムのあたたかさとデジタルの自由度。
どちらの良さも生かしながら、Ruiさんはその瞬間の“空気”を写し取っています。
■ 偶然がつないだ、忘れられない出会い
2023年の夏、地元の海で「くらげの風鈴」を撮影したときのこと。
その翌年、撮影依頼をくれた方が、こんな言葉をかけてくれたそうです。
「1年前に海辺で撮影しているRuiさんを見かけたんです。
Instagramであの時の写真を拝見して、“いつか撮ってもらいたい”と思っていました。」
そんな偶然の再会に、Ruiさんは驚きと喜びを隠せなかったといいます。
「写真って、人と人をつなぐ不思議な力があるんだなと実感しました。」
■ 「特別な場所」よりも、「今この瞬間」を撮りたい
「以前は“インスタ映えする場所”を探して撮っていましたが、今は何気ない日常を撮るのが好きです。」
季節や時間によって変化する光の色、空気の温もり、暮らしの音。
どんな場所も、今この瞬間しか見られない“儚い美しさ”に満ちているとRuiさんはいいます。
「普段の生活の中で、少しだけアンテナを張ってみてください。
美しいと思った瞬間を、写真に残す。それがきっと、あなたの宝物になります。」
Ruiさんの作品
最後に
儚く、消えてしまいそうな一瞬をそっと抱きしめるように撮るRuiさん。
その写真は、見る人の心に「懐かしいあたたかさ」を残します。
写真が光を留めるのではなく、心を照らすものになる——
そんな優しさにあふれた作品の数々、ぜひRuiさんのSNSでご覧ください。
