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所属する早稲田大学写真部にてアールイーカメラとのコラボ企画に参画する人を募集していた。どうやら好きな機材を一週間程度お借りできるとのこと。「学生が購入できない高価な機材を使ってみる機会を提供する」というコンセプトだそうだ。これは渡りに船だ。そう感じた私は左右なく申し込んだ。結論としてそれは非常に有意義なものであった。気になる機材を旅先に持って行くことができ、今後の機材レパートリーに対する想像を膨らませる助けとなったのである。
九月の上旬にシンガポールへ旅行に出かけた。そのお供として、今回「SONY α7cⅡ」「FE 16-35mm F2.8 GM II」をお借りすることができた。当初この機材を借りる計画ではなかった。
レンタルの際にスタッフの方と相談し、「旅行に持っていきやすいサイズ」であること、「超広角レンズを使ってみたい」という結論に達した結果この機材となった。
無論おかげさまで大変に満足のゆく撮影体験となったのは言うまでもない。
本稿はその旅行の記録と作例の紹介である。
さて、東京からシンガポールに向かう訳だが、上海にてトランジット(乗り継ぎ)した。
その方が圧倒的に安いのである。これは上海浦東空港のサテライトターミナルで撮影した。
広角ならではの奥行感と、フルサイズならではの階調の豊かさがよく表現されている一枚だ。
シンガポールといえば何を思い浮かべるだろうか。残念ながら本稿にマーライオンは出てこない。α7CⅡには「クリエイティブルック」機能がついている。現像しなくても「それっぽい」色味を出してくれるのだ(エンジニアには失礼だが)。この写真はFLで撮影した、「マリーナベイサンズ」のデパートである。屋根に船が乗っかってる巨大ホテルと言えば理解して頂けるだろう。私はこの色味がこの上なく好きだ。透明感を演出しつつ、寒色と暖色のバランスが取れ、かつ彩度がくどくないのである。皆さんはいかがだろうか。
今度は「船」からの写真だ。このレンズは開放2.8と明るい。開放にしてもこれだけシャープに映るのはさすが現代レンズといったところだ。カメラ本体もフルサイズなので、感度を4ケタにしてもスムースさが保たれている。最近になって写真ソフトにAIノイズ除去機能が搭載されるようになったが、(私は肯定派だが)そんなものに頼る必要などないという貫禄を感じる。
超広角らしいパースの効いた構図に絞って長時間露光するという、激安超広角レンズにもできる仕事をこの高級レンズにさせるのはやや無駄遣いだろうか。カメラを固定できる環境においては結局こうした設定で撮影するものである。極論APS-C機に暗いレンズでも撮れる。では開放2.8のレンズやフルサイズ機の存在意義は何か。それは悪条件、例えば三脚が使えなかったり光量が足りないシチュエーションでも満足のゆく作品を撮れる可能性を広げることではないだろうか。一つ前の写真が良い例だと思う。これが暗いレンズやAPS-Cだともっとノイズが乗っていたことだろう。大きな紙に印刷すると不満を感じるかもしれない。結局のところ、「可能性」を広げる為に良い機材を持っておくのである。
これもその一例かもしれない。そもそも広角レンズを持っていないとこの写真は撮れない。「できる できない」にダイレクトに関わってくるのが画角なのだろう。
シンガポールへ持ってい行く機会を頂けたこと、そして何よりも高価な機材を快く貸していただいたアールイーカメラさんには感謝してもしきれない。今回は現代レンズと現代機をお借りすることができた。同じく機材を借りた仲間の話を聞いていると、フィルム機を使いたい欲も出てきた。幸いなことに友人より預かっているCanon F-1が自宅に眠っている。明日はこれを持って街へ繰り出そう。今回の企画はそんなことも思える良縁であった。
プロフィール
早稲田大学写真部
Kaku
早稲田大学文化構想学部表象メディア論系3年
普段は風景写真をメインに撮っているが、最近は人物撮影に挑戦中。猫が好き。