【早稲田大学写真部×アールイーカメラ】バルナックライカと街を歩く/山口 ゆい
【早稲田大学写真部×アールイーカメラ】バルナックライカと街を歩く/山口 ゆい
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〈企画の話を聞いて〉

 はじめにこの企画のお話を伺ったとき、使わせていただける機材の種類が多いことに驚きました。そのため、どれをお借りしようか考えている時間も本当に楽しかったです。私は最初の打ち合わせにも参加していたのですが、その時にもいくつかカメラを触らせていただいて、打ち合わせに参加したメンバーで大盛り上がりでした。なかなか学生の財力では手の出せないようなものや一度は使ってみたい機材もあり、あれもこれも借りたくなってしまったのですが、どうにか1つに絞りお借りしました。

〈機材貸出までの流れ〉

 私は普段からフィルムカメラを使うことも多く、今回もフィルムカメラをお借りしたいと考えていま
した。事前のアンケートでもそのように回答していたと思います。
しかし、具体的にどの機材にするかは決めておらず、何となく中判レフでも借りようかなあと考えていました。せっかくならハッセルブラッドも良いなと思いながら貸出日にお店へ伺った時に、スタッフの方へ「ハッセルブラッドなどの中判カメラにも興味があるが、既に6×6判のカメラは一台持っている」「なんか面白いカメラが使いたい」という何とも漠然とした要望を伝えたところ、ライカはどうかと提案していただきました。

実は当初、もちろん使ったことなどないのに、ライカに対してあまり好みではないだろうという印象を持っていました。というのも、ライカのカメラは大きくて重いというイメージがあったからです。私は手がとても小さくてあまり体力もないので、大きくて重いカメラというのは敬遠してきました。その話をしたところ、バルナックライカなら使いやすいのではないかと勧めていただきました。バルナックライカについては名前を聞いたことがある程度であまりよく知らなかったのですが、実物を見て手に取ってみるととてもおさまりのいいサイズ感で、「このカメラを持って歩いてみたい!」と感じました。そして、モノクロフィルムは自分で現像もするという話から、ライカⅢfをお借りしてモノクロの写真を撮ることに決まりました。

〈テーマと実際に撮影した写真〉

 普段テーマを決めて撮影することがあまりないので、今回も明確なテーマは決めずにカメラを持って歩きながらスナップを撮りました。撮影後には今回も自分で現像をしました。

 まず訪れたのはみなとみらいです。カメラをお借りしたその足で向かいました。久々のレンジファインダー、しかもピントを合わせる用と構図を決める用でファインダーが分かれているというのは初めての体験だったので慣れるまで苦労しました。ちなみに、レンジファインダーあるあるの「レンズキャップをつけたままシャッターを切る」もやらかしました。レフ機のありがたみを感じる瞬間ですね。それはさておき、そのとき実際に撮影した写真について話したいと思います。

この写真は横浜赤レンガ倉庫で撮影したものです。ちょうど夕方に差し掛かるころで、光と影の雰囲気がとてもきれいでした。私はあの時間帯のやわらかいオレンジ色の光や長く伸びる影が好きなのですが、この写真にはその雰囲気がうまくのったように思います。画面の右上から差し込む光が思わず目を細めたくなるようなまぶしさをそのまま写し取っている気がしてお気に入りの1枚です。

こちらも赤レンガ倉庫で撮影しました。建物のガラスの反射を写したものです。建物の中の様子と反射している外の様子が混ざりあって多重露光のような写真になりました。なかなかピントがうまく調整できず、全体的にぼやけてしまったところが反省点です。

こちらは大さん橋の近くで撮影した写真です。設定をそのままに撮ったら少し暗くなりすぎてしまったのですが、それも相まって何とも怪しげな雰囲気が醸し出されました。横浜は地元なのですが、地元だからこそ普段あまり訪れなかったり意識したことのなかったりする場所がたくさんあるということにカメラを持って歩くと気づかされます。


 これらは写真4が池袋で、写真5が銀座で撮影したものです。影や雑踏は好きでよく撮るのですが、現像してみるといつもと印象の異なる写真に仕上がっていました。いつもの自分の写真に比べてグレー、特に黒寄りの部分の色調がやわらかく写っているように思います。普段と違うカメラを使ってみると、自分の写真において自分に固有の視点とカメラに固有の表現が感じられてとても興味深いです。

〈まとめ〉

 今回この企画ではじめて使うカメラをお借りすることができ、純粋に撮影が楽しかったです。それだけではなく、どのカメラにしようか悩む時間も何か写っているのか、どう写っているのか緊張しながら現像する時間もとてもわくわくしました。私はカメラそのものについてはあまり詳しくないのですが、今回お借りしたカメラが自分に写真を撮ることとそこに付随する時間に楽しさや価値を与えてくれるものであるということがとてもよく感じられました。

 また、これまであまり自分の写真について具体的に考えた事がなかったのですが、この企画を通してスタッフの方と相談してカメラを決めたり記事を書いたりする中で、自分が何を撮りたいのか、何が好きなのかを考えるきっかけにもなりました。スタッフの皆さまも私の漠然とした要望から様々なカメラの話を通じてこの1台を提案してくださり感謝しています。このような機会に恵まれてとても光栄でした。


〇著者プロフィール

早稲田大学写真部
山口 ゆい
普段は街中のスナップを撮ることが多いです。
フィルムカメラはハーフから中判まで使います。

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