早稲田大学社会科学研究科英語プログラム修士1年、写真部123期 ヤン。 主にポートレートを撮る、後処理が面倒なため富士など直出派のブランドが好きで、三大ブランドは考えない。 写真の究極の目標は、自分の音楽アルバムのジャケットを撮ること。
Yan Jinhengの使用カメラ
123期の新入生として、今回が初めてのアールイーカメラさんのカメラレンタルイベントへの参加でした。
先輩から「販売中の全機種が借りられるよ」と聞いたとき、本当にワクワクしました。
サイトに掲載されているほぼ全ての機材を時間をかけてチェックし、最終的にこの機会に中判を試してみようと決めました。
というのも、私は普段富士フィルムのAPS-C機を使っていて、フルサイズを使っている部員が多い中、いつも少し「劣等感」を抱いていたからです。だからこそ、今回は中判で一発逆転を狙おうと思いました。
本当は中判の神様と言われるハッセルブラッドX2Dが第一候補だったのですが、残念ながら公式サイトには対応レンズがなく、そこで目を富士フィルムのGFXシリーズに向けました。
ちょうど新型のGFX100Rがリストにあったので、すぐに申込書を提出。
アールイーカメラさんも即座に承認してくれて、イベント開始2日目には店頭で無事カメラを受け取ることができました。
店員さんもとても親切で丁寧に対応してくださり、急なお願いにも応えてストラップを取り付けてくれたので、持ち運びがとても楽になりました。
カメラを手にした瞬間からもう手放せないほど気に入りました。というのも、このGFX100Rは私が大好きなシルバーのレトロボディだからです。
まずはこの機種のカスタム設定にかなり時間をかけました。
ボタン類が多く、自分にとって最も快適な操作感にする必要があったからです。私の設定は、前ダイヤルでISO調整、後ダイヤルでシャッタースピード微調整(ここで一つ不満なのは、富士の場合シャッタースピードを変えるのにボタン2つを使わなければならず、一気に回せないこと)、絞りはレンズの絞りリングで操作(ダンピング感が最高)、フォーカスリングにはフィルムシミュレーションの切替を割り当て(フィルムシミュダイヤル復活!)。これで基本的な露出操作はかなりスムーズになりました。
それからボディ内設定ですが、必ずNDフィルターをオフにすることが重要です。
固定レンズの開放値がF4とやや暗めなので、NDを入れると適正な露出が得られません。になります。(たまに誤ってONになってしまい、室内ではISO25600まで上げてもまだ暗いことがあります。)
また、高ISOノイズリダクションは必ず-4に設定すべきです。
デフォルトは0ですが、-4にしないと完全にOFFにならず、写真がひどく塗りつぶされたような質感になってしまいます。
その他のカラー設定やFXブルーなどは好みによりますが、私はたいてい最大にして、前コントロールレバーに割り当てています。
カメラを受け取った翌日、もう我慢できずに街撮りに出かけました。日曜日は本当に暑く、日傘を差していても汗が止まらないほどでした。ルートは神田川からスタートして聖マリア大聖堂まで歩きました。
最初のポイントは、神田川沿いにある上り階段。緑の植生、木漏れ日の光、上ってくる人の姿――かなり安定感のある構図になりました。この写真は典型的なVelviaフィルター+強FXブルーで、画面の青と緑が非常に目を引きます。ただし、この日はシャープネスを最大に設定してしまっていたため、拡大すると葉のディテールに不規則なエッジ強調の跡が残ってしまいました。
その後、とても素敵な花屋さんの前を通りかかりました。ちょうど店員さんがドア枠の中央に立っていて、「これはまさに『決定的瞬間』だ」と直感。構図や露出を深く考える間もなく、本能のままにシャッターを切ったところ、驚くほど良い写真が撮れました。
この一枚はまさに1億画素の威力を実感できるもので、前景の紫の花や手すりを残したままでも、あるいは門枠で切り取って人物を際立たせても、どちらでも驚くほど鮮明に描写されます。
次に向かったのは教会の外観。この独特なデザインの建物は、日本の建築家・丹下健三氏の傑作で、ご本人の遺体も教会の地下に眠っています。
上空から見ると十字架の形をしており、正面からは翼を広げた白鳥のように見えます。
内部の設計も非常に迫力がありますが、撮影は禁止されているため、ぜひ実際に足を運んでほしい場所です。
こちらは教会前広場の片隅に置かれていた清掃用具の一角。色とりどりの組み合わせがとても面白いと感じました。
一日撮影してわかったことがいくつかあります。まず、このカメラはバッテリー持ちが非常に良いこと。最初はバッテリー1本で足りるのか心配でしたが、実際に使ってみるとまったくの杞憂で、満充電なら丸一日撮影しても問題ありませんでした。
次に、撮影モードは単写ではなく連写をおすすめします。単写モードでは、撮影後に毎回約1.5秒の「書き込み中」表示が出ますが、連写モードならそれがなく、実測ではどちらも同じ仕様の画像が得られました。
ここからは写真部の伊豆夏合宿で撮影した写真についてです。
伊東サービスエリアでは、鳩と多くのヨットが停泊している港をスナップ。本当は鳩の正面を撮りたかったのですが、残念ながら次の瞬間には飛び立ってしまいました。
合宿中、大室山は天候の影響で閉鎖されていたため、向かいにあるサボテン動物公園へ行きました。ここではさまざまな可愛い動物と近距離で触れ合い、餌やりも可能です。
一緒に行った部員たちは大口径の中望遠〜望遠レンズを使って動物のアップを撮っていましたが、100R Fではさすがに厳しく、全体の景色を撮る程度しかできませんでした。
城ヶ崎海岸では、大きな風景撮影が再び100R Fの得意分野に。写真は後処理で空のハイライトを少し戻しました(はい、私のような典型的な富士ユーザーは基本的に後処理をしません。
富士フィルムの魅力は最高のJPEG出しだからです。でも今回は中判ということで、後処理の寛容度も中判ならではの醍醐味の一つだと感じました)。
巣雲山(すくもやま)から富士山を望むと、この日は風が強かったものの、視界は非常に良好でした。
合宿2日目の夜は、みんなで花火をしていました。これが今回数少ないポートレート撮影の一枚です(28mm換算の焦点距離でポートレートは本当に難しい)。
レンズが「AF!」と表示し続ける中、なんとか撮った一枚です。この「AF!」という表示は音ではなく、画面上にオートフォーカスが合焦しなかったことを示すものです。富士フィルムの夜間AFの弱さはやはり健在で、「夜は家に帰れ」という富士フィルムの異名は中判でも同じだと痛感しました。
総じて、GFX100R Fは「レンズに足を引っ張られた中判カメラ」だと思います。
中国の写真界の言葉を借りれば「呂布が犬に乗る」(呂布は三国志最強の武将)。
開放F4の固定レンズで手ブレ補正もなく、弱光ではピントが外れやすい。屋外の大風景やスナップでは1億画素の性能を最大限に活かせますが、ポートレートでは焦点距離と小絞りが足かせとなり、中判ならではの極上のボケを活かせない場面も多いです。ある意味では中判の魅力を少し無駄にしてしまっているとも言えます。
とはいえ、GFX100R Fは中判をより軽量に、あるいは製品差別化を図るためにあえて割り切った結果生まれたカメラで、実験的で前衛的な製品だとも思います。
富士フイルム公式の開発者インタビューでも、このカメラの初期コンセプトは「中判を一般ユーザーに普及させること」だと語られていました。
その意味では、100R Fは十分にその目標を達成していると思います。
今後、防振機構やより大口径化を実現しつつ重量を適正に抑えた後継機が出れば、間違いなく時代を変える名機になるはずです。
最後までお読みいただきありがとうございました。そして改めて、このような貴重な体験の機会を提供してくれたアールイーカメラさんに感謝します。
名前:Yan Jinheng
早稲田大学社会科学研究科英語プログラム修士1年、写真部123期 ヤン。 主にポートレートを撮る、後処理が面倒なため富士フイルムなど直出派のブランドが好きで、三大ブランドは考えない。 写真の究極の目標は、自分の音楽アルバムのジャケットを撮ること。
早稲田大学社会科学研究科英語プログラム修士1年、写真部123期 ヤン。 主にポートレートを撮る、後処理が面倒なため富士など直出派のブランドが好きで、三大ブランドは考えない。 写真の究極の目標は、自分の音楽アルバムのジャケットを撮ること。
Yan Jinhengの使用カメラ
Yan Jinhengの使用レンズ