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【早稲田大学写真部×アールイーカメラ】M3 と、暮らすこと。 / kawashima

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【早稲田大学写真部×アールイーカメラ】M3 と、暮らすこと。 / kawashima

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大学生になってからカメラ沼に嵌る。 気づいたら毎日EOS-1D Xを持ち歩くようになってしまった。 スナップも風景も全部含めて、目で見てきれいだと思ったものはすべて撮るようにしている。

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ライカ M3 ボディ シルバークローム

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ライカ Ernst Leitz Summicron 5cm f2 固定鏡胴 前期
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触っておくべき“名機”との出会い

EOS-1D X, ISO160, F8, 1/80

一生のうちに、一度は触っておくべき機材があるらしい。よく写るレンズ、使いやすいボディ、プロ機、名機、などなど。
発売されたときに、どういうカメラが求められていたのか、どういう機材を企業は追い求めていたのか。それを知るには、触ってみないとわからない。

Leica M3 もまた、触っておくべき機材の一つだと聞いていた。カメラと写真の話をするうえで、Leica の話は欠かせない。
そういうことで今回は、Leica の中でも M 型の代表的存在である M3 と Summicron 5cm F2 固定鏡筒をお借りした。
あまり総額は想像したくない。快く貸していただいたアールイーカメラ様には頭が上がらない。

ライカ M3 ボディ シルバークローム
ライカ Ernst Leitz Summicron 5cm f2 固定鏡胴 前期

M3 も Summicron 5cm F2 も言わずと知れた名機、銘玉なので詳細な説明は省かせていただきたい。
ここでは普段 1D X を持ち歩いている奇怪な私が、Leica に触れてどう感じたかを書かせていただこうと思う。

初めてのM3、初めてのフィルム装填

まず御徒町でカメラを借りて、さらにカラーネガフィルム(Gold200)をいただいたものの、最初に何を入れようか迷った。
新宿のヨドバシカメラフィルム館で悩んでいたが、色々あってまずはモノクロフィルムの Rollei RETRO80S にすることにした。

Leica M3の装填は“儀式”のよう

M3 にフィルムを入れるときはまず底のつまみをまわして底蓋を外し、スプールを外して裏蓋も開け、フィルムをスプールに差し込んでからパトローネをフィルム室に入れていく。
後発のフィルムカメラとは少し構造が違うので、最初は少し手間取った。
裏蓋が開くのが M3 の革命的なところの一つであり、バルナックライカとは入れやすさが段違いらしい。実際そうだと思う。

撮りはじめて感じた“実を伴う重さ”

さて、撮影開始である。借りる前からずっと思っていたことだけど、M3 はずっしり重い。
しかし前はネガティブに「見た目のわりに重い」と思っていたけれど、持つとわかる。
これは 「実を伴う重さ」 なのだ。
中身が本当に詰まっていることがよく示されているし、Leica を使うということの覚悟として現実的にその重さが載っているような気もする。

モノクロで知るLeicaの真価

Leica M3, Rollei RETRO80S, F4, 1/125

光と影の緻密な表現

写真はよく晴れた新宿から。Retro80S のコントラストが強めに出るらしく、50年以上前のレンズとは思えないほどシャープだった。
現像して見たとき、思わず唸るほどだった。

Leica M3, Rollei RETRO80S, F2, 1/30

京王線新宿駅から一枚。京王線新宿は意外と暗いので絞りを開放にしたけれど、さすがSummicron、本当にはっきり写っていると思う。Retro80S がコントラスト強めに出るらしいというのもあるけれど、もう 50 年以上前のレンズなのにここまで写るのか…と現像して見たとき感嘆してしまった。
また、撮影体験としても普段は自動巻き、AEAF の EOS-1 N を使用するので、撮りたいところで立ち止まり、露出を調べ、レバーで巻き上げ、自分でピントを調整するという行為を久しぶりにしたのだが、これはこれで丁寧に一枚と向き合うことになるので、とても心地よい。
Leica が選ばれる理由が、だんだんわかるようになる。手巻きであるためにほとんどの場合 37 枚撮れるのもなんだか新鮮だ。

Leica M3, Rollei RETRO80S, F8, 1/500

さっき開放の写真を出したので、今度はしっかり絞った写真を。絞るとより解像度が上がっている気がする。

Leica M3, Rollei RETRO80S, F5.6, 1/125

解像度が高すぎて、デジタルで撮ったのかと見紛う。機会があってこの写真は手焼きプリントまでやったのだけれど、フィルムが「エモい」は嘘だなとしみじみ思った。
あまりにもしっかり写るもので、唸るしかない。使用したフィルムの影響もかなりあるのだけれど、本当に滑らかである。
モノクロで解像度を堪能したところで、次にカラーを入れることにした。
お金のない貧乏学生であるので、いただいた Gold200 のほかに、Colorplus200 とUltraMax400 を使うことにした。

カラーフィルムで味わう表現の幅

Leica M3, Kodak Gold200, F2.8, 1/500

Gold200との出会い

次に使ったのは Kodak Gold200。
入念にフィルムがスプロケットのギアに嵌ったのを確認してしまったため、左の 1/3 が感光してしまった。(スキャンの際に感光した部分を範囲に含めなかった)
自動巻きではほとんどあり得ない感光に出くわし、そんなものあったな…となった。

Leica M3, Kodak Gold200, F2.8, 1/1000

この日は新橋を散歩していた。鉄道開通の地、新橋停車場跡での一枚。上品に暖色の混じる Gold200 の色味が非常に好ましい。RETRO80S のはっきりさに比べると、少し柔らかめになっているのがわかる。この日は中の展示室で日本海縦貫線の企画展をやっていた。
新潟行きの雷鳥が懐かしい(存在しない記憶)。

花を撮る喜び

作例で見た花の写真に惹かれ、Summicron で花を撮ろうと決めていた。
ピント面はしっかり解像している一方で、背景の玉ボケが美しい。
まさに“作例で見た通り”の描写ができた瞬間だった。
作例で見た通りの写真が撮れて大変満足である。
現像してスキャンした時、Gold200 ってこんな青がかかることあったかな…?と思った。
スキャナー(GT-X980)の色かもしれない。

フィルムの儚さもまた、学び

M3 の操作にも慣れてきたころ、うっかり底蓋を早く開けてしまい、3枚ほど感光してしまった。
しかし不思議なことに、那須高原の向日葵の写真だけはしっかり生き残ってくれていた。
フィルム写真は失敗すらも味わいに変わる——そんな瞬間だった。

Colorplus200、UltraMax400で描く“色の時間”

フィルムを入れ替え、次は Colorplus200。

Leica M3, Kodak Colorplus200, F5.6, 1/125

こちらは散歩からの一枚。進入禁止標識が 2 つあるのはなんだか珍しい気がする。
折りあって富士フィルムの現像サービス券をもらったので、このフィルムだけデータ化までお願いしてみた。

色の違いを感じながら

Leica M3, Kodak Colorplus200, F5.6, 1/250

Colorplus200 と Gold200 は似ているが、前者は室内、後者は屋外で暖色に寄りやすいように感じた。
夕暮れの河川敷では、Summicron の「空気まで写る」ような描写に息をのんだ。

青と光を描くUltraMax400

最後に試した UltraMax400 は、少し粒状感が強く、青寄りの発色が特徴的だった。

Leica M3, Kodak UltraMax400, F2.8, 1/250
Leica M3, Kodak UltraMax400, F16, 1/250

若洲海浜公園での撮影では、西日の残る光景を丁寧に露出を合わせて撮る。
Leica は「撮る丁寧さ」を教えてくれるカメラだと改めて感じた。

Leica M3, Kodak Colorplus200, F5.6, 1/250

晴天だと意外と暖色にでるみたい。でもなんとなく青いのがわかるだろうか?
とにかくこの日もよく晴れていた。思い返してみれば、逆に晴れなかった日がなかった。
晴れると写真を撮る気になって嬉しいのだが、暑すぎるのも良くない。

M3と過ごした時間が教えてくれたこと

記事を書きながら、巻き上げレバーの感触とシャッターの音を思い出す。
それは非常に鮮明だ。
普段使っている 1D のようなカメラに比べてずっとお淑やかで、手に馴染むし、よく写る。
Leica が愛されている理由がようやくわかった。
短期間で4本のフィルムを消費したのは初めてだった。
その枚数ゆえに、去年貸していただいた makina67 よりも長く M3 を握っていた気がする。
6×7 も素晴らしいが、35mm判の手軽さと枚数の多さはやはり魅力だ。
M3 は評判に違わず“いい写真機”だった。

最後に

アールイーカメラ様は毎度私に貴重な機会をくださる。
改めて感謝申し上げたい。
ありがとうございました。

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大学生になってからカメラ沼に嵌る。
気づいたら毎日EOS-1D Xを持ち歩くようになってしまった。
スナップも風景も全部含めて、目で見てきれいだと思ったものはすべて撮るようにしている。


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