和田麟都
高校で所属していた映画制作の部活動をきっかけにカメラにハマる。現在の愛機Nikon Z5は2機種目。出かけた先で写真を撮ることが多く、中でも人が画面の5%くらいを占める作品が主食。
和田麟都の使用カメラ
和田麟都の使用レンズ
今回初めてアールイーカメラさまとのコラボ企画に参加し、機材をお借りする機会をいただきました。選んだのは、Nikon Z6ⅢとNikon NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sです。普段はNikon Z5に28mmや40mmの単焦点レンズを組み合わせて撮影していますが、砂漠地帯である敦煌への旅行では幅広く対応できるズームレンズが適していると考えました。
ボディも最高クラスのZ6Ⅲを選び、普段ではなかなか味わえない体験に挑みました。今回は日本語に対応していない海外版のボディを選びました。特別に海外版へこだわったわけではありませんが、実際に使ってみて問題がなければ、今後の中古カメラ選びの幅を広げられるのではないかと考えたためです。
事前に申し込みを行うと、迅速に承認をいただきました。店頭では、写真歴の長いスタッフの方から海外撮影の魅力や体験談を伺い、手続きもスムーズに進みました。旅行直前の受け取りとなったため、最低限のボタン配置やUIのカスタムだけを行い、そのまま出発しました。実際に現地でセンサーダストに気づき、事前のクリーニングを怠ったことを悔やみましたが、これも含めて良い学びとなりました。
以前こそズームレンズを多用しており、最近は単焦点レンズを好んで使用している私ですが、今回24-120mmのいわゆる「便利ズーム」を試してみて、改めてその良さを実感しました。砂が吹きやすく、センサーにゴミが混入しやすい地域であったため、レンズ交換をしなくて良いことに恩恵を感じました。
砂山の頂上付近から撮った一枚です。フルフレームならではの豊かな階調が印象的です。普段使っている28mm単焦点レンズよりも少し広角な24mmでの撮影ですが、一段と強い開放感のある写真となりました。絞り開放であるため、周辺減光が大きく出ています。
「ヤルダン」と呼ばれる奇岩が見られる地質公園で撮影した一枚です。今度は望遠端での撮影でしたが、驚くほどの画質と肉眼では得られない圧縮効果を体感しました。
敦煌市内の環状交差点での一枚です。強力な手ぶれ補正のおかげで、手持ちでも0.25秒程度のシャッタースピードを問題なくこなせました。また、日が暮れた後も素早いオートフォーカスを使用できました。
街中で出会った犬の写真です。バリアングルモニターを回転させず、本体に固定した状態で斜め上から覗き込みながら撮りましたが、大きく表示される水準器のおかげで水平を保つことができました。ただし、高感度でのノイズはZ5などの他機種と比べてやや目立ちました。
テーブルフォトのようにカメラマンが前後に動きにくいシーンでは、ズームレンズはとても便利です。広角側では同行者も含め、夕日に照らされた屋外席の雰囲気を美しく写し取ることができました。
ズームをすると、皿の形をきれいに表現しつつ、一つひとつの料理に注目した写真が撮れます。あまりボケすぎても変なので、f/4通しというのは丁度いい口径です。Sラインらしく、フォーカスの合っている部分は良く解像しています。
こちらは揺れの激しいバス車内から撮影した映像です。クロップのない4K60Pで、ジンバルを使わずに撮影しましたが、強力な手ぶれ補正のおかげで安定感のある仕上がりになりました。動画撮影に詳しくないためN-RAWやLogは試しませんでしたが、要求の高い撮影にも十分応えられる性能を備えていると感じました。
Z6Ⅲでは、ソフトウェア面でも多くの改善がありました。顔認識AFの精度向上や縦向きUIに対応したバリアングルモニターといった撮影に直結する機能だけでなく、スマートフォンアプリ「SnapBridge」との接続安定性といった細かな使用感まで向上しています。特に、Z5で「2MP」か「元画像」に限られていたスマートフォン転送に「8MP」が新たに追加され、利便性が大きく向上したと感じました。
一方で、私の撮影スタイルでは恩恵が少なかった機能もありました。
今回のレンタルを通じて、24-120mmズームの便利さを改めて実感しました。レンズ交換をせずに幅広い焦点距離をカバーし、どの場面でも解像感の高い写真を撮れるのは非常に快適でした。
ボディのZ6Ⅲは「バランスモデル」でありながら、私には持て余すほど高性能であることが分かりました。風景をじっくり撮るなら高画素のZ7シリーズやコストを抑えられるZ5でもよいかと思いますが、Z6Ⅲはポートレート、スナップ、報道といった機動力を求められる場面で真価を発揮するでしょう。さらに、従来Nikonの課題とされてきた動画性能も大幅に向上し、動画ユーザーにもしっかりアピールできる機種だと感じました。
今回、Nikon Zシリーズのバランスモデル最上位を実際に試すことで、自分にとってどのようなカメラが必要なのかを改めて考える機会になりました。加えて、日本語非対応の海外版を使用してみましたが、意外と不便は少なく、今後の中古カメラ選びの選択肢を広げるヒントにもなりました。
このような貴重な体験をさせていただけたのは、アールイーカメラさまのご協力あってのことです。心より感謝申し上げます。そして、ここまでお読みいただいた皆さま、本当にありがとうございました。