
この度はアールイーカメラ様の機材をお貸しいただき、誠にありがとうございました。部活動の諸先輩方の勧めで、今回機材をお借りする運びとなりました。お借りしたのは、「富士フイルム フジノンレンズ XF50mmF1.0 R WR」になります。(ボディは普段使用している「FUJIFILM X-T50」を使いました。)本レンズ最大の特徴は、F1.0という極めて明るい開放値を有しているところにあります。
背景が大きくぼけるところが魅力の1つと言えるでしょう。大きくぼかせるということは被写界深度が浅いということと同義です。つまり、ピント合わせが非常にシビアになると考えられます。しかし、その点は本レンズにおいては考えなくてもよいのです。なぜなら、AF対応のレンズであるからです。AF速度は爆速とは言えませんが、信頼のできる速さ、精度、安定性になります。そんな素晴らしいレンズをお借りできたこと、非常に嬉しく思います。
事前に専用フォームで希望日時などを答えた後、店舗に足を運び、実際に機材をお借りしました。機材貸し出しに関しては、事前にお借りしたいレンズをこちらで決めていたので、その旨を伝えるとスムーズに用意してくださいました。実はこの時、カメラ本体を家に忘れてくるという大失態を犯したのですが、店頭にあったカメラでレンズの動作確認をさせていただけるなど、柔軟な対応をしてくださり、事なきを得ました。その節はありがとうございました。
普段使用しているレンズでは表現することのできない作品を求め、1週間という限られた時間の中で撮影を行いました。ここではいくつかの作例を紹介したいと思います。
まずは大学に住み着いている猫の写真です。



圧巻の“ぼけ”に感無量です。手前にある木の葉のぼけが強く透き通るほどで、全体的にふんわりとした印象を与えます。それとは対照的に、被写体の方はくっきりと浮かび上がり、被写体の魅力を最大限に活かした写真を撮ることができたように思います。
猫を撮ると同時に、大学内で静かに佇む木を何気なく撮ってみました。

木にピントを合わせることで背景が大きくぼけ、柔らかい光に包まれているような穏やかで空気感のある1枚となりました。
その次の蛇口の写真も大学内で撮ったものになります。

水が滴り落ちる様子を捉えるため、連写で撮影しました。まるで蛇口以外そこにはないかのように、周りが大きくぼけているのが特徴の1枚です。
また、F1.0は多量の光を取り込めるという点で暗所撮影にも適しています。ここで紹介している写真は、横浜での夜の街を切り取ったものになります。


F1.0の世界をファインダー越しで見てみると、夜なのにここまで明るく映るのか、と驚きを隠せませんでした。通常暗所ではISO感度を上げることが強いられますが、F1.0ならISO感度を抑えることができ、それによりノイズの少ないクリアな画質を可能にします。
どの写真も非常に滑らかで、クリアな描写であることが伝わるでしょうか。さらに、どれも細部まで見えるほどの見事な描写力、さすが“描写性能全振りのロマンレンズ”と言われているだけあります。この描写力のおかげで、人工的な光は夜の闇との間でコントラストを生み、夜の街並みをドラマチックに映し出してくれます。



夜の煌めきをここまで表現できる本レンズは、やはり暗所撮影に適していると思われます。ここには写真を載せていないのですが、ぼけを活かしたポートレートも、撮るには最適なレンズです。特に夜景を背にして被写体を配置することにより、美しい玉ボケを描写することができ、幻想的な1枚を撮ることができます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。本レンズを使ってみて、シャッターを切ることの楽しさを改めて感じることができたように思います。F1.0のレンズを使えるということで、F1.0で撮っていることが多かったのですが、あえてF8.0で撮ってみるのも楽しかったです。
「普段使用しているレンズでは表現することのできない作品」というテーマで様々な写真を撮ったのですが、どの作品もいつもとは違った雰囲気を纏った思い出として、写真にも、そして心にも残すことができました。本記事に載せている写真はもちろん、載せていない写真も含めて、どれもお気に入りの1枚となりました。
このような貴重な機会を実現してくださったアールイーカメラ様に重ねて御礼申し上げます。
野口沙織
元々写真をスマホなどで撮ることが好きで、大学入学を機にカメラを買いました。そのためカメラ歴は半年弱とまだまだ浅いです。何気ない日常の風景や空、人を写真に収めることが好きです。
野口沙織の使用カメラ
野口沙織の使用レンズ