
2026年3月15日(日)から3月21日(土)まで、新宿 北村写真機店地下1階のベースメントギャラリーで、学生フィルムプロジェクト「grayn(グレイン)」による写真展が開催されます。デジタルカメラが主流となる現代において、9つの大学の学生たちがフィルム写真文化の継承を目指し、集結しました。本展は、フィルム写真に改めて光を当て、その魅力を次世代に伝える重要な試みです。
写真展「grayn」のテーマは、「なぜ今フィルムなのか」という問いに、学生たちがそれぞれの解釈で向き合い、フィルムカメラで記録した写真を通してその答えを探ります。フィルムの写り、懐かしさ、手焼きのプロセスなど、学生一人ひとりの「フィルムで撮る理由」が詰まった作品が展示されます。デジタル時代に逆行するかのように、手間をかけて写真を創り出す彼らの情熱は、多くの写真愛好家、特に若い世代に新たな視点を提供することでしょう。
graynプロジェクトは、現代では貴重となった「暗室」を保持する9つの大学の写真部が連携し、フィルム写真文化を守り、発展させるために発足しました。このネットワークは、単なる技術の継承に留まらず、学生同士が交流し、新たな表現を模索する場となっています。
デジタル写真が主流となり、手軽に写真が撮れる時代において、フィルム写真の撮影、現像、手焼きといった一連のプロセスは、時間と手間を要します。しかし、学生たちはこの「あえて時間をかける」ことこそが、フィルム写真の持つ大きな価値であると考えています。暗室での作業は、一枚の像とゆっくりと丁寧に向き合うことで、デジタルでは得られない深い感動と経験をもたらします。近畿大学の写真部の例でも、学生たちは「写真を通して、なんで自分はこの写真を撮ったんだろう」「この瞬間にどんなことがあったんだろう」といった価値観やエピソードを共有する時間を大切にしています。
graynプロジェクトは、当初の目標である暗室文化の継承に加え、1年のブランクを経て再始動するにあたり、カラーフィルムにも挑戦しています。これにより、モノクロームだけでなく、色彩豊かな表現の可能性も追求し、フィルム写真の新たな魅力を引き出そうとしています。
本展では、参加学生たちが「なぜ今フィルムで撮るのか」という問いに対し、それぞれが独自の視点で制作した作品が展示されます。フィルムの独特な質感や偶然性、あるいは撮影から現像までの過程で生まれるエピソードなど、作品一枚一枚に込められた学生たちの想いやこだわりを感じることができます。フィルムの写りが好き、懐かしい感覚が好き、手焼きのプロセスが好きなど、多様な理由が写真表現にどのように反映されているのか、ぜひ会場でご覧ください。
学生たちは暗室文化の継承を大きな目標とし、手焼きや銀塩プリントにも挑戦しています。これらのアナログプロセスは、デジタル写真とは異なる偶発性や温かみを生み出し、作品に深みを与えます。例えば、暗室での現像作業では、薬品に浸す時間や温度によって仕上がりが変わるため、その過程で生まれる驚きや感動は、デジタルでは味わえない体験です。光を遮り、薬品の匂いが漂う暗室での作業は、まるでタイムマシンに乗ったかのような感覚をもたらし、一枚の写真を「物質としての作品」へと昇華させます。
学生たちの作品には、彼らがフィルム写真に魅せられた理由が色濃く反映されています。デジタル時代に育った若者たちが、あえて不便とも思えるフィルム写真のプロセスに価値を見出し、一枚一枚を丁寧に作り上げる姿勢は、観る者に写真の原点と可能性を問いかけます。彼らの作品を通して、写真が単なる記録媒体ではなく、感情や記憶を呼び覚ます表現手段であることを再認識するでしょう。
フィルム写真は、デジタル写真にはない独特の魅力を持っています。その一つが、「粒状感(フィルムグレイン)」と呼ばれる微細な粒子状のパターンです。これはフィルム上の銀塩結晶が光に反応して生じるもので、写真に温かみや懐かしさ、あるいは緊張感といった感情を喚起させます。また、フィルムは露出のわずかな違いや現像プロセスにおける偶然性が、予測不能な美しい仕上がりを生み出すこともあります。撮影から現像、プリントまでの時間的プロセスそのものが、一枚の写真に深い物語と重みを与えるのです。
デジタルカメラは、瞬時に結果を確認でき、大量に撮影・編集できる手軽さがあります。しかし、フィルム写真は、撮影枚数に限りがあるため、一枚一枚を丁寧に考え、シャッターを切る瞬間を大切にします。現像するまでどんな写真が撮れているか分からない「不確実性」は、時に大きな不安をもたらしますが、その反面、写真が浮かび上がった瞬間の感動はひとしおです。この「手間」と引き換えに得られる、予期せぬ発見や感動こそが、フィルム写真の醍醐味であり、多くの若者を惹きつける「楽しさ」だと言えるでしょう。
現代の若者たちにとって、フィルム写真は「新しい」表現手段として注目されています。デジタルネイティブの彼らにとって、フィルムの独特な質感やアナログなプロセスは、新鮮で魅力的に映るのです。SNSでは、あえてフィルム風に加工された写真が「エモい」と人気を集めるように、デジタルでは表現しきれない「味わい」や「思い出っぽさ」が、フィルム写真の持つ大きな強みとなっています。フィルムカメラは、単なるノスタルジーに留まらず、現代の若者の感性と結びつき、新たな写真文化を創造しています。
写真展「grayn」では、豪華なトークイベントも開催されます。3月20日(金・祝)には、PENTAXの「Film Project」でプロジェクトリーダーを務めた鈴木タケオ氏が登壇し、「なぜ今フィルムなのか」をテーマにフィルム人気の再燃について語ります。長年にわたりカメラ開発に携わってきた氏の視点から、フィルム写真の現在と未来について深く考察する貴重な機会となるでしょう。
3月21日(土)には、二部構成でトークショーが開催されます。第一部では、「ミスターニコン」の異名を持つ後藤哲朗氏が、フィルムカメラの技術変遷について語ります。F3からデジタルD3シリーズまで、数々の名機開発に携わった氏の講演は、写真史に興味のある方にとって必聴です。第二部では、後藤氏に加え、カメラ修理専門会社U.C.S代表取締役社長の中島一憲氏、フォト工房キィートスの名誉技術顧問である國井猛氏を招き、「技術継承の難しさ」をテーマに、修理技術の未来について深く掘り下げます。
これらのトークイベントは、フィルム写真の過去、現在、そして未来について、第一線のプロフェッショナルたちが語り合う貴重な場となります。学生たちの若々しい感性と、長年業界を支えてきた熟練の技術者たちの視点が交錯することで、フィルム写真文化の新たな可能性が生まれるかもしれません。参加者にとって、写真表現の奥深さや技術継承の重要性を再認識する機会となるでしょう。
写真展「grayn」の会場となる新宿 北村写真機店ベースメントギャラリーは、「地下から写真文化を発信する」というコンセプトのもと、多くの写真愛好家にとって魅力的な空間を提供しています。音楽や写真の世界で名作が地下から生まれてきたように、このギャラリーも写真の魅力を発信し続ける場所です。新宿 北村写真機店は、新品・中古カメラやレンズ、アクセサリー、プリントサービス、修理、写真に関する書籍まで幅広く取り揃え、写真とカメラのライフスタイルを提案する専門店として知られています。
入場は無料です。 トークイベントは、開催期間中の3月20日(金・祝)と3月21日(土)に、B1Fベースメントギャラリー内で開催されます。
写真展「grayn」は、デジタル全盛の時代に、学生たちがフィルム写真に魅せられ、その文化を未来へ繋ごうとする熱い挑戦の場です。彼らの作品は、フィルムならではの質感、偶発性、そして撮影から現像までの一連の手間を通して生まれる深い感動を伝えます。これは単なる懐古趣味ではなく、現代の若者が再発見した「新しい」表現手段としてのフィルム写真の可能性を示しています。
本記事は、写真展「grayn」を通じて、フィルム写真が持つ奥深い魅力と、それを探求する若い世代の情熱を、写真愛好家やアートに興味のある一般層に伝えたいと考えています。特に、デジタル世代の学生たちが、あえて手間をかけることで得られる写真体験の豊かさや、一枚の写真に込められたストーリーを重視する姿勢は、現代社会における写真のあり方を再考するきっかけとなるでしょう。この展示が、多くの人々にとって写真との新たな出会いとなり、フィルム写真文化がさらに発展していくことを願っています。
アールイーカメラは、「カメラでみんなをHappyに、そして写真文化を次の世代へ」をテーマに、中古カメラ・レンズの販売・買取を行うカメラ専門店です。 カメラを通じて人々に喜びを届けること、 そして写真文化の魅力を次の世代へとつなげていくことを大切にしています。 店舗・オンラインショップ・マガジンを通じて、 写真を愛するすべての人に向けて、 カメラの魅力や新しい発見を発信しています。
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アールイーカメラの使用カメラ
アールイーカメラの使用レンズ
