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 自然の“生と死”を写す——志賀高原を拠点に活動する自然写真家 fotoshinさん

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壮大な絶景だけが、自然写真のすべてではない。
長野の森や高原に静かに佇む“何気ない一瞬”にこそ、深い物語が宿る——。

ワーキングホリデーで滞在したカナダをきっかけに自然写真の世界へと足を踏み入れ、現在は志賀高原を拠点に活動する自然写真家 fotoshin さん。
「共生」「生と死の循環」をテーマに、自然と真摯に向き合い続けるその視点と歩みについて、お話を伺いました。

NDフィルターとの衝撃的な出会いが、すべての始まり

もともと写真は遊び感覚で撮っていたという fotoshin さん。
設定もよく分からないまま、スナップとも言えない写真を気ままに撮る日々でした。

転機となったのは、約10年前。
ワーキングホリデーで滞在していたカナダ・バンフ国立公園での出来事です。

ハイキング中に出会ったフランス人の写真家が見せてくれた、NDフィルターを使った長秒露光の写真。
水面が絹のように滑らかに表現されたその一枚に、強烈な衝撃を受けました。

「自然を撮りたいというより、あの写真をどうやったら自分でも撮れるのか。そのことに夢中でした」

帰国後はNDフィルターを探し回り、本格的に風景写真をスタート。
さらにアイスランドへの撮影旅を経て、自然を撮ることそのものの面白さに気づいていきます。

そして改めて見つめ直したのが、故郷・長野の自然でした。
自宅から30分ほどの場所にある志賀高原へ通い続けるうちに、いつしかそこは「練習場」から「仕事場」へと変わっていったと言います。

派手さよりも“奥深さ”に惹かれていく自然観の変化

初期は、いわゆる“絶景”に強く惹かれ、インパクトのある自然風景を追い求めていました。
しかし、撮影を重ねる中で、その視点は少しずつ変化していきます。

現在、fotoshin さんが心を動かされるのは、一見すると地味で、初見では気づかれにくいシーン。
よく見ることで、じわじわと奥行きや意味が伝わってくる瞬間です。

「狙って撮ることも大切ですが、何気なく足を運んだ先で、心に響いた瞬間を大事にしています」

活動テーマは「共生」「生と死の循環」
植物たちが環境に適応しながら生きる姿や、生命が巡っていく様子に目を向けています。

自然の在り方が、人として生きる上で大切なことを教えてくれる——
そんな瞬間に出会ったとき、シャッターを切るのだそうです。

生と死が交錯する瞬間を写した、忘れられない一枚

Nikon Z7・ AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR

今回選んでいただいた写真の中で、最も印象に残っている一枚。
それは2022年に開催した初個展「Echo」のメインビジュアルとなった作品でした。

2020年秋、林道を走行中にふと目に入った白樺の倒木。
一度は通り過ぎたものの、その光景が忘れられず、引き返して撮影したと言います。

幹の途中から折れ、横たわる白樺。
その背後には、見事に色づいた楓の紅葉が広がっていました。

「死にゆく白樺への、華やかな弔いのように見えました」

タイトルを「華麗」と名付けた理由も、そこにあります。
自然界に意図はないとしても、生と死が同時に存在し、命が巡っていくことを強く感じた瞬間でした。

この作品は、その後の自然への向き合い方を大きく変えるきっかけになった、特別な一枚だと語ります。

自然の息遣いまで写し込む、GFXという選択

現在のメイン機材は FUJIFILM GFX100S II / GFX50S II
長年Nikonを愛用してきた fotoshin さんですが、風景撮影の主軸はGFXシリーズへと移行しています。

理由は、ラージフォーマットセンサーがもたらす
・広いダイナミックレンジ
・豊かな階調表現

「現場で感じた空気感や、自然の繊細な息遣いまで写し込めると感じています」
現像の自由度が高く、表現を理想に近づけられる点も大きな魅力。
一方で、フルサイズの方が都合の良い場面もあると正直に語りつつ、描写力を重視し、当面はGFXを使い続けるとのことです。

富士フイルム FUJIFILM GFX100S II

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富士フイルム FUJIFILM GFX50S II

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吹雪の河原で出会った一本の木が教えてくれたこと

印象深い撮影体験として挙げてくれたのは、2024年大晦日の上高地。
吹雪の中、化粧柳の老木を撮影するため、往復約30kmのソロロングハイクに挑みました。

誰もいない真冬の河原。
地吹雪に打たれながら、なお立ち続ける一本の木。

「その姿に、強く心を打たれました」

過酷な環境で撮影した一枚は、自分自身も強く生きなければと感じさせてくれる作品になったと言います。
すべての撮影がこうした行程ではないものの、「特別だと感じられる作品を作り続けたい」と、改めて実感した出来事でした。

自然写真を撮るなら「長野県全域」

おすすめの撮影スポットは、迷わず「長野県全域」。

三つのアルプスや八ヶ岳のようなアルパインな風景から、
志賀高原・美ヶ原・乗鞍高原といった日本らしい自然まで、非常に多様なフィールドが広がっています。

タイプの異なる自然を行き来することで、常に新鮮な視点を保てることも魅力。
中でも志賀高原は、標高差による環境の変化と四季折々の表情が楽しめる、ホームグラウンドとして特におすすめだそうです。

fotoshin さんの作品

Nikon Z7・ AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR
Fujifilm GFX100 Sll・GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR
Fujifilm GFX100 Sll・GF35-70mmF4.5-5.6 WR
Fujifilm GFX100 Sll・GF35-70mmF4.5-5.6 WR
Fujifilm GFX50 Sll・GF35-70mmF4.5-5.6 WR
Fujifilm GFX50 Sll・GF35-70mmF4.5-5.6 WR
Fujifilm GFX50 Sll・GF35-70mmF4.5-5.6 WR
Fujifilm GFX50 Sll・GF35-70mmF4.5-5.6 WR
Fujifilm GFX100 Sll・GF35-70mmF4.5-5.6 WR
Fujifilm GFX100 Sll・GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

写真を通して、自然のあり方を伝え続けたい

派手な絶景ではなく、静かな瞬間に宿る物語。
生と死が交差し、命が巡る自然の姿。

fotoshin さんの写真は、自然の美しさだけでなく、
「どう生きるか」という問いを、そっと投げかけてくれます。

これからも志賀高原を拠点に、写真・映像・言葉を通して、
自然と向き合う時間を私たちに届けてくれることでしょう。


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fotoshin さん

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長野県出身、ワーキングホリデーでカナダの滞在をきっかけに自然への追求心が芽生え、帰国後から故郷長野の風景写真にのめり込む。現在は自然写真家として独立し、地元の志賀高原を拠点とし長野県内で活動中。撮影レッスンやYoutube 「fotoshin channel」にてチャンネルを運営中。その他自然ガイド、写真・映像撮影、作品展示、レンズ作例担当、執筆等幅広い活動を行っている。

fotoshin さんの使用カメラ

使用カメラの画像
FUJIFILM GFX100S II ボディ
使用カメラの画像
富士フイルム FUJIFILM GFX50S II
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長野県出身、ワーキングホリデーでカナダの滞在をきっかけに自然への追求心が芽生え、帰国後から故郷長野の風景写真にのめり込む。現在は自然写真家として独立し、地元の志賀高原を拠点とし長野県内で活動中。撮影レッスンやYoutube 「fotoshin channel」にてチャンネルを運営中。その他自然ガイド、写真・映像撮影、作品展示、レンズ作例担当、執筆等幅広い活動を行っている。

fotoshin さんの使用カメラ

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FUJIFILM GFX100S II ボディ
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富士フイルム FUJIFILM GFX50S II

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