最近35mmフィルムの使用頻度が減っている気がしています。その代わり1ヶ月ほど前にWISTAを購入しました。先日WISTAを手持ちで大阪万博に突撃しましたが、すれ違う人の目線が痛かったです。 主な機材:EOS R6MarkII, Nikon F, Leica IIIf, MAMIYA C330, WISTA45
田口睦大の使用カメラ
田口睦大の使用レンズ
今回はマルミ光機様より「アルプスパンチ!」「なついろパンチ!」の2枚のフィルターをお借りしました。
マルミさんのフィルターといえばPRIMEやEXUSといった透過率の高い保護フィルターが有名ですが、このフィルターのコンセプトは解像度を落とすことだというから驚きです。
初めてこのフィルターの存在を知った時はかなり衝撃を受けましたし、使ってみたいなとは思っていたのですが、なかなか良いお値段で手が出せず…(3枚のガラスで構成された贅沢なフィルターですのでお値段は納得です)
そんな中で今回お借りできたので、とても良い経験になりました。
近年のカメラ・レンズは解像度に重きが置かれていると個人的に感じています。
画素数が求められるのも、レンズの解像度が求められるのも、そういった傾向ゆえでしょう。
そうした傾向は、目の前のものを正確に写そうとする、写真機という概念が誕生して以来の人類の願望であって、正当な進化であるといえます。
同時期にお借りしたLeicaのM11とアポズミクロン50mmF2の組み合わせは、解像力を求めた時の一種の正解ともいえます。
その一方で、解像度ではなく「味」で魅せようという風潮が存在するのも確かです。
だからこそベス単フード外しが流行りましたし、ソフトフォーカスレンズやフィルターが存在するのです。最近でもレンズベビーのような安価なソフトフォーカスレンズが出ていますね。
今回のフィルターはその系譜といえます。
私は今まで解像力を求める方の立場でしたので、ソフトフォーカスには疎かったです。
しかしながら最近写真集をたくさん読むようになり、あえて解像力を落とすことの良さを感
じつつあります。一番好きな写真集は深瀬昌久の「鴉」なのですが、この中にもバキバキに解像したものとぼんやりと幻想的な雰囲気を持つ写真が混在しています。
最近はその「鴉」をイメージした作品を構想していますので、今回の撮影はとても良い練習になりました。
今回の撮影ではどちらも基本的にWBを5500Kで固定して撮影しました。屋外での撮影が多かったことと、フィルターによる色の変化を楽しむためです。
機材はNikon Z6とNIKKOR Z 40mm f/2を使用し、基本的に絞り開放で撮影しています。アスペクト比を変えた以外はレタッチなしのJPEG撮って出しです。
バイトの休憩時間に新宿を徘徊した時の一枚です。なついろパンチ特有の鮮やかな青色が印象的です。ピント自体は合っていますが、ソフト効果によってビルの先端が滲み、儚げな雰囲気があります。
昭和レトロなお店での一枚です。室内での撮影でしたので、WBは5500Kからずらしています。
アルプスパンチを5500Kで使うと後ほどお見せするようにかなり緑色が強く出ますが、WBを変えると暖色が鮮やかに出ます。これはなついろパンチとは違う特徴ですね。
こちらもバイトの休憩中の一枚です。なついろパンチを使っているとやっぱり空を撮りたくなりますね。
名前からの刷り込みでしょうか。どうしても「なつぞらパンチ」と呼んでしまう癖が抜けません。
せっかくの夏なのでもっと大きな入道雲を撮れたら完璧でしたがご愛嬌。
暑いからあまり外には出たくないです。ぼやけた雲はどこか絵画のような雰囲気を醸し出しています。
中野の盆踊りだったと思いますが、祭りのあとの残滓を捉えました。
照明の影響でかなり眩しい逆光があったと記憶していますが、その部分はパープルフリンジとはまた違った色の滲み方をしているように思います。
WBは屋内で撮影してそのままだった気がするので5500Kではないはずです。暖色に寄っていますね。
合宿中の一枚です。朝からカンカン照りで嫌になってしまうくらいでしたが、ややアンダーめで撮ることで静けさが生まれました。このボケ方はなんとなく水中写真を彷彿とさせます。
金沢の21世紀美術館で使ったら面白そうですね。ベッドを入れたのはアレック・ソスの「SLEEPING BY THE MISSISSIPPI」の影響からです。
あれはキリスト教とベッドがかなり大きなテーマでしたね。深瀬の「鴉」をオマージュしたような1枚も印象的です。
ウイスキーを飲みに行った時のテーブルフォトです。暖色に傾いた朧げな写真と木製のテーブルの相性が良いですね。液体をすり抜けた光の揺らぎがフィルターによって曖昧さを増し、完備な印象を受けます。それにしてもガラス製品に当たる光は美しいですね。この時飲んでいたのはアイラ島のラフロイグだった気がします。ピートの強いスモーキーなウイスキーが大好きです。
合宿の朝の一枚です。前日の夜に部員みんなで手持ち花火をした残滓です。全体的に青色が加わることで、花火のマゼンタがあまりどぎつくならずに鮮やかさを保っている気がします。
この写真はどことなく川内倫子の「うたたね」を彷彿とさせます。あの淡い感じは多くの人が再現しようとすると勝手に思っていますが、私もチャレンジした1人です。
青に寄せてスッキリめにしたほうがいいのかな、と思いつつ、本編を見返すと必ずしもそうではないと感じます。
確か中判フィルムをカラープリントしていたと記憶しているのですが、カラー写真家って凄いなと思わされます。
学内某所での一枚です。これ以降のアルプスパンチの作例は先述したように緑色に寄ったものになります。お借りしてしばらくはWBを5500Kで固定して撮影していたので、ここまでの緑をどう使いこなしてやろうかと頭を悩ませていました。
「なついろ」の青さは都市の風景によく似合うので使いやすかったのですが、緑て…となっていました。
そんな中でこの一枚が撮れたわけですが、陰影の強い描写なら使えるのでは?と閃くきっかけになりました。
今回はテーブルの上に置いて撮影したためブレていませんが、低速シャッターを使ってブレ感を出した撮影も面白いかなと記事を書いていて思いました。もっと早く思いついていれば……
合宿で熱海の海辺を訪れた時の一枚です。以前自分の展示で水面を捉えた写真を布に印刷して展示したことがあるのですが、それを撮影段階で再現できないかと試みた一枚です。
結果としては思ったよりも求めていた写真が撮れたな、という印象です。この曖昧さはどことなく抽象的な絵画のようですね。それがまさに展示で目指したところです。だからこそその時はキャンバス生地に印刷して木枠に張ったわけですから。
朝早く、誰もいないバスでの一枚です。緑豊かな公園の横を走っているので、木々をバックに撮影したら緑が映えるのではと思いシャッターを切りました。そしたらなんとびっくりイメージドンピシャの写真が撮れていました。
先のウイスキーの写真もそうですが、もしかしたらアルプスパンチはガラスと絡めた写真と相性がいいのかもしれません。
最近35mmフィルムの使用頻度が減っている気がしています。その代わり1ヶ月ほど前にWISTAを購入しました。先日WISTAを手持ちで大阪万博に突撃しましたが、すれ違う人の目線が痛かったです。 主な機材:EOS R6MarkII, Nikon F, Leica IIIf, MAMIYA C330, WISTA45
田口睦大の使用カメラ
田口睦大の使用レンズ