
ポートレートはちょっとしたコツやテクニックをおさえるだけで、誰でも印象的な写真を撮ることができます。
本記事では、光の使い分けやカメラ設定、構図の工夫など、ポートレート撮影の基本から応用までをステップごとに解説します。作例では、公園や街中、室内などさまざまなロケーションでの撮影のコツをまとめました。
初心者はもちろん、さらにステップアップを目指したい方は、ぜひ参考にしてください!

ポートレート撮影に役立つテクニックを、基本編と応用編に分けてご紹介します。
以下のポイントを実践して、写真のクオリティをさらに高めましょう。

ポートレート撮影の基本は、光の位置を正確に把握することです。どこから光が当たっているのかをよく観察しましょう。
逆光は顔に強い影が出にくく、表情を柔らかく写すことができます。さらに輪郭や髪の毛に光が入ることで、透明感や清潔感が出て印象がアップします。サイド光は陰影を強調でき、ドラマチックに仕上がります。
光が正面に当たる順光は、被写体がまぶしさを感じやすく、表情が硬くなってしまいます。
日差しの強い日中の屋外では避けるのが無難です。

前後の景色を大きくぼかすことで、柔らかく印象的なポートレートになります。
背景の余計な情報を目立たなくし、自然に被写体へ視線を誘導する効果もあります。
景色を大きくぼかすには、レンズの絞り(F値)を小さくするのがポイントです。
F1〜4程度に設定すると前景や背景をしっかりぼかせますが、いくつか注意しておきたいポイントもあります。
以下、作例を参考にF値によるぼけ方の違いを見てみましょう。

暗い室内で、絞り開放のF1.4で撮影したポートレートです。
被写体の左目にピントを合わせています。F値が小さいと、このように顔を少し傾けただけでも、右目がかなりぼやけて写ります。
F2.8以下ではピントの合う範囲が非常に狭くなるため、人物をしっかり見せたい場合はF値を下げすぎないよう注意しましょう。

こちらはF4で撮影したもの。顔全体に加え、体全体がはっきりと写っています。
人物をしっかり見せたいときや、背景を写して周囲の場所も伝えたいときは、F4〜5.6ほどにするとよいでしょう。

焦点距離は標準から中望遠域の「35mm〜85mm」を基準にしましょう。
50mm前後は被写体と背景のバランスがよく、ポートレートで扱いやすいのが特徴です。
中望遠なら被写体と距離をとりながら撮影できるため、被写体が緊張しにくく、自然な表情を引き出したいときにおすすめです。
35mm以下の広角は背景を多く取り入れられますが、画面端が歪みやすいのが難点。
反対に85mm以上の望遠は距離を大きく取る必要があり、場所によって扱いにくくなります。
初心者の場合は標準〜中望遠を選ぶと失敗が少なく、安定したポートレートになります。

ストロボ・定常光を使って光の向きや強さを調整することで、ポートレートのクオリティが格段に
アップします。被写体を適切に明るくするだけでなく、陰影をつけて立体感を作る効果もあります。
補助光は暗い室内や夜だけでなく、昼間の屋外でも有効です。明るい背景に比べて被写体が暗く写ってしまうときは、ストロボなどを使って被写体と背景とバランスを整える「日中シンクロ」というテクニックを活用します。

構図やアングルを少し工夫するだけで、同じ被写体でも印象を大きく変えられます。
カメラの位置は被写体の目線に合わせると自然に写り、大胆なハイアングルやローアングルで被写体の印象を際立てるのもおすすめです。
構図は基本の「日の丸構図」に加え、「3分割構図」や「対角線構図」などを意識して、空間に奥行きが出るように工夫してみましょう。
さまざまなロケーションで撮影した、ポートレートの作例をご紹介します。
光の使い分けや構図のポイントなど、撮影場所ごとの具体的なテクニックをまとめました。

一面に広がるイチョウの絨毯が印象的な、秋の公園での一枚です。秋晴れの穏やかな日差しを逆光に捉えることで、輪郭に光が浮かび上がる「リムライト効果」を使い、被写体が引き立つ一枚になりました。さらにカメラアングルを低くし、地面のイチョウを手前に入れることで、ぼけと奥行きを演出しています。
ポーズはイチョウの葉を手に取ってもらうことで楽しげな雰囲気に。公園には落ち葉など、ポートレートを彩るアイテムが多くあるため、ぜひ探してみてください。

公園でのポートレート撮影では、被写体をベンチに座らせてみるのもおすすめです。
かっこよくポーズを決めるのもよし、自然体でリラックスしている様子をさりげなく撮影するのもよし。多彩なポーズを試すことでポートレートの印象がガラリと変わります。
作例では並んでいるベンチを左前に配置し、被写体がいる中央へと線が伸びる構図にすることで、さりげなく視線を誘導しています。

街中でポートレートを撮影する際は、木陰や建物の影など、光が柔らかく広がる場所を選ぶと効果的です。直射日光よりも均一に光が広がる日陰では、肌のトーンが自然で滑らかに写り、被写体の魅力を引き出せます。
また、建物が多い街中では、背景をシンプルにして被写体を際立たせることが大切です。
作例では背景を無機質なコンクリート一色にすることで、被写体の存在感が引き立っています。

夜の街角で撮影したこちらの写真は、ネオンや街灯の明かりを柔らかくぼかし、都会的なムードを引き立ててみました。背景の暖色の光明かりが温かみを添え、ノスタルジックな一面も感じられます。
後ろの街灯をスポットライトのように見立て、逆光で被写体の顔の半分を影にすることで、表情を活かしたアンニュイな雰囲気に仕上げました。
シャッタースピードとISOは、表情が見えるぎりぎりの明るさに調整しています。

雨の日のポートレートは、地面の水たまりで人物を反射させる「リフレクション」を狙ってみましょ
う。被写体のシルエットが水面に映り込むことで、自然とドラマ性が生まれます。
リフレクションだけでなく、傘や雨粒など、雨の日ならではの表現を取り入れるのもポイントです。
リフレクション撮影は、カメラを地面に近づけるのがコツ。地面を多く入れることで、被写体と反射の対比がはっきりし、奥行きと安定感のある構図になります。

定常光を使用した室内ポートレートです。この作例では、後ろの窓から差す自然光を髪に当てて透明感を演出し、定常光で背景と人物の明るさを調整しています。暗くなりがちな室内で光を補い、自然な明るさに整えることで、写真のクオリティを高めることができます。

定常光やストロボを使用するときは、光を直接被写体に当てず、天井や壁にバウンスさせるのがポイントです。光を反射させることで陰影が強くなりすぎず、自然な立体感に仕上がります。
また、光が柔らかく広がることで肌や髪が滑らかに見え、被写体の魅力をぐっと高めることができます。

ポートレートを印象的に仕上げるテクニックを解説しました。
光や構図の工夫次第で、これまで以上に魅力的な写真を撮ることができます。記事で紹介したポイントをおさえて、ポートレートのステップアップを目指してみてください。
朝香凪咲
旅行ガイドを中心に執筆。趣味は植物や動物のスナップ撮影で、気軽に持ち歩けるコンパクトな カメラとレンズを好む。株式会社三和オー・エフ・イー所属。