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NDフィルターとは、レンズの先端に取り付けて、レンズに入る光の量を減らすために使う黒いフィ
ルターです。
NDとは「Neutral Density」の略であり、「中立な濃度」という意味があります。つまり、色には影響
を与えず、光の量だけを減らせるフィルターです。
レンズのサングラスのようなものと考えるといいかもしれません。
NDフィルターは、風景やポートレート、動画撮影などに導入することで表現の幅を大きく広げてく
れるアイテムです。
この記事では、NDフィルターの機能や基本的な使い方について解説します。ぜひ参考にしてくだ
さい。
NDフィルターは目的に合った種類を選ぶ必要があります。自分の用途にマッチしていることを購
入前に必ず確認しましょう。
NDフィルターには「ND4、ND8…」と番号がついています。
この番号は濃度を表していて、番号が大きいほどフィルターは濃く、シャッター速度を遅くできる
のです。
ND4、ND8などの数字は、光量を何分の1に減らすかを表しています(例:ND8は光量1/8)。
種類と減光量の関係は以下の表のとおりです。
実際の撮影時は、絞りとシャッター速度から露出を計算しながら、必要なシャッター速度に調整で
きる濃度のNDフィルターを使います。
可変NDフィルターとは、フィルターの前枠を回すだけで濃度を調整できる便利な商品です。
通常のNDフィルターの場合、さまざまなシチュエーションに合わせて減光量を調節するためには
濃度の異なるNDフィルターをたくさん用意しなければなりません。これでは多くのフィルターを持
ち運んだり交換したりする手間がかかります。
しかし、可変NDフィルターであればフィルター1枚で露出を簡単にコントロール可能です。
一方で、色被りが発生しやすい、画質が劣化しやすいというデメリットもあるため注意しなければ
なりません。
NDフィルターを使いこなすためには、絞りとシャッター速度の関係性について知っておくべきで
す。
撮影の際は、絞り、シャッター速度、ISO感度の3つの数値を設定することで取り込む光の量を決
めます。なかでも、絞りとシャッター速度を調整することによって写真の明るさ(露出)を設定する
ことが基本です。
絞り値を小さくしたりシャッター速度を遅くしたりすると写真の露出が明るくなりすぎる場面で、ND
フィルターは活躍します。
絞りやシャッター速度にこだわりたいシーンで、NDフィルターを使うというイメージを持ってもいい
かもしれません。
ここでは、NDフィルターを使う具体的な撮影の場面について、作例とともに解説します。
シャッター速度を遅くした表現をしたい時
NDフィルターは、シャッター速度を遅くした表現をする際に使用します。
シャッター速度を遅くすれば、その分光を取り込む量が増えるため絞り値を大きくして適正な露出
に調整しなければなりません。しかし、昼間など明るい環境ではその調整にも限界があるため、
NDフィルターを用いて減光するのです。
シャッター速度を遅くすることで、被写体を意図的にぶらす表現ができます。
たとえば、次の写真のように滝を線のように写す表現が可能です。
また、川の水流や海の水面をなめらかに写すこともできます。
雲を流すというおもしろい表現もできます。
晴天時などにレンズの絞り値を小さくしてボケを活かした表現をしたい場合、露出オーバーで白
飛びしてしまうことがあります。シャッター速度の上限はカメラによって決められているため、性能
を超えた速さのシャッター速度が必要な場面では適正な露出で撮れません。
そのため、どうしても絞りを開けた表現をしたいならば、NDフィルターを使って減光する必要があ
るのです。
動画撮影の場合、フレームレート(fps)によって適正なシャッター速度は固定されます。撮影意図
に合う絞り値で撮影するには、NDフィルターによる露出コントロールが欠かせません。
通常、適正なシャッター速度はフレームレートの2倍までとされています。
※東日本でフリッカー現象を回避する場合
シャッター速度が速すぎると、動きがつながらず不自然な動画に見えてしまいます。滑らかな映
像にこだわるならば、NDフィルターは必須アイテムです。
NDフィルターは、絞りやシャッター速度を活かした表現にこだわりたい場面で必ず使うアイテムで
す。撮影をしていると、欲しいと思う場面にいつか出会うため、この機会に購入を検討してみては
いかがでしょうか。
濃度の違いや可変NDフィルターなどさまざまな種類があるため、ご自身の用途に合ったものを
選んでみてください