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【ミラーレスカメラ×オールドレンズ】コンタックス Carl Zeiss Planar T*100mm F2 レビュー!αシリーズで味わうポートレートの隠れ銘玉

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【ミラーレスカメラ×オールドレンズ】コンタックス Carl Zeiss Planar T*100mm F2 レビュー!αシリーズで味わうポートレートの隠れ銘玉

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山本 洵

埼玉県戸田市出身。 メインフィールドは旅行系メディアでの撮影・執筆。 株式会社三和オー・エフ・イー所属。

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ミラーレスカメラでオールドレンズを使う魅力は、何と言ってもその描写の個性と、現行レンズでは
なかなか味わえないフィルム時代のレンズが持つ独特の雰囲気でしょう。
今回、数あるオールドレンズの中から選んだのはコンタックス Carl Zeiss Planar T* 100mm F2。
Planarと言えば、Planar T* 85mm F1.4やPlanar T* 50mm F1.4が大人気ですよね。その陰に隠
れてしまい、語られることが少ないないのが、Planar T* 100mm F2というこのレンズ。
Planar T* 85mm F1.4に負けず劣らずの実力を持った100mmレンズをミラーレスカメラのソニーα
シリーズで使用し、その特長と魅力を紹介します。

コンタックス Carl Zeiss Planar T* 100mm F2の紹介

Carl Zeiss Planar T* 100mm F2は、その美しいボケ味とシャープな描写で、多くの写真家を魅了
してきた銘玉です。

Planar(プラナー)とは、ドイツ語で「平面」を意味する言葉で、カールツァイス社のレンズ設計における代表的な名称の一つです。Planar 100mm F2は、その名の通り、像面湾曲を良好に補正し、
画面全体で均一な描写を実現しています。また、カールツァイス独自のT*(ティースター)コーティングにより、フレアやゴーストを効果的に抑制し、クリアで抜けの良い描写を実現しています。
このレンズは、1980年代から2000年代にかけて製造され、コンタックスの高級一眼レフカメラ用レンズとして、多くの写真家に愛用されました。その美しい描写は、デジタルカメラ全盛の現代においても色褪せることなく、多くの人々を魅了し続けています。

レンズスペック

まずは、Carl Zeiss Planar T* 100mm F2の基本的なスペックを見ていきましょう。

焦点距離: 100mm
開放F値: F2
レンズ構成: 6群8枚
絞り羽根枚数: 8枚
最短撮影距離: 1m
フィルター径: 55mm
重量: 約620g

6群8枚というレンズ構成は、描写性能の高さを予感させます。Carl Zeissのレンズ設計技術が、この構成の中に凝縮されていると思うとワクワクします。
全体的に見て、このレンズはポートレート撮影に特化した、高性能なレンズであると感じます。Carl Zeissの描写性能への期待感はもちろん、F2という明るさが、どのような写真表現を可能にするのか、実際に使ってみるのが非常に楽しみになります。
約620gという重量は、最新のレンズと比べると決して軽いとは言えません。しかし、このずっしりとした重みこそが、オールドレンズならではの魅力なのではないでしょうか。手に取ると、ひんやりとした金属の質感が伝わってきます。それはまるで、職人の魂が込められた工芸品を手にしているかのようです。
現代のレンズにはない、重厚な存在感が、撮影への期待感を高めてくれます。このレンズと共に、
じっくりと時間をかけて、一枚一枚丁寧にシャッターを切りたい。そんな気持ちにさせてくれる、特別な重さだと感じます。

Carl Zeiss Planar T* 100mm F2とSony αシリーズの組み合わせ

Carl Zeiss Planar T* 100mm F2とSony αシリーズの組み合わせ
SONYαシリーズのミラーレスカメラにCarl Zeiss Planar T* 100mm F2を装着するには、マウントアダプターが必要になります。レンズそのままではマウントが合わず装着できないので気を付けましょう。
マウントアダプターを使うことにより、Carl Zeiss Planar T* 100mm F2の描写をデジタル写真で楽しむことができます。αシリーズにはピーキング機能や拡大表示機能が搭載されているので、ピント合わせも簡単に行えます。ボディ内手ブレ補正も有効なので、手持ち撮影でも安心です。
ここからは実際にCarl Zeiss Planar T* 100mm F2を使用して撮影した作例をアップしていきます。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/125 f2 ISO100

オールドレンズを使う場合は、最新のレンズのようにオートフォーカスが効きません。ピント合わせはすべて手動で行う必要があります。そのため、ピントを合わせる際に「少しの間」が生まれます。
このオールドレンズならではの「少しの間」が生み出すスローなテンポが新鮮で楽しいです。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/1000 f2 ISO100

開放にも関わらず、モデルさんの瞳、まつ毛の一本一本、そして唇の質感まで、シャープに描写してくれます。
開放が生み出すボケは、背景を優しく溶かし、モデルさんを絵画のように浮かび上がらせてくれます。
光の粒子が繊細に描写され、奥行き感と立体感を生み出しているように感じます。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/1000 f2 ISO100

Carl Zeiss Planar T*シリーズは、50mmと85mmを所有していますが、ポートレートレンズとして一番しっくりくるのは、やはり100mmだと感じました。50mmは、その自然な画角からスナップポートレートには最適ですが、背景のボケを活かした表現となると、少し物足りなさを感じることもあります。
一方、85mmは、より背景を大きくぼかすことができますが、被写体との距離が近くなるため、少し圧迫感を感じることも。
その点、100mmは、50mmと85mmの良いところを両立しているような気がします。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/1000 f2 ISO100

100mmという焦点距離は、ポートレート撮影において、構図の自由度が高いというメリットもあります。全身を写すことも、バストアップで表情を捉えることも、自由自在に調整することができます。
もちろん、50mmや85mmにもそれぞれの魅力がありますが、ポートレートレンズとしての、バランスの良さ、使いやすさが、Carl Zeiss Planar T* 100mm F2の魅力なのではないでしょうか。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/1000 f4 ISO100

F4に絞ることで、画面全体のシャープネスが向上し、モデルの表情や服装のディテールをより鮮明に捉えることができます。全身を捉えたポートレートであるため、絞り込むことで、情報量を増やし、
視線誘導なども考えることができます。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/1250 f2.8 ISO100

Carl Zeiss Planar T* 100mm F2は、開放F値での美しいボケ味だけでなく、絞り込んだ時のシャープな描写も良いレンズです。F2からF2.8まで1絞り、F4まで、わずか2絞り分の違いですが、表現の幅を大きく広げてくれます。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/125 f2 ISO100

Carl Zeiss Planar T* 100mm F2は、現代のレンズにはない独特の優しく潤いのある描写を持っています。この描写は柔らかい被写体やソフトな表現をしたい時に活躍しそうです。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/125 f2 ISO100

開放F値で使用すれば、息をのむほど美しいボケ味が、被写体を幻想的に浮かび上がらせます。
絞り込めば、シャープで緻密な描写が、被写体の持つ本来の美しさを引き出してくれます。

SONY α7SⅢ / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/400 f2 ISO100

植物にCarl Zeiss Planar T* 100mm F2を向けてみました。この写真は、熱帯植物園に咲いていたイクソラ(サンタンカ)の花を、開放 F 値で撮りました。鮮烈な色彩と、背景の緑とのコントラストを上手に表現してくれました。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/5000 f2 ISO100

友人の子供と川遊びをした日の写真です。眩しい太陽光が水面に反射し、キラキラと輝く光の粒子に魅かれて写真を撮りました。逆光時のハレーションのような光のベールは優しく被写体を包み込んでくれます。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/2500 f2 ISO100

現代レンズにも劣らない描写のCarl Zeiss Planar T* 100mm F2ですが、もちろんオールドレンズならではのドラマチックな表現もできます。
「エモい」、「ノスタルジック」といった表現方法もオールドレンズの楽しみ方の一つですよね。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/80 f2 ISO100

これは近所の町内会が催した夏祭りでの一コマ。フィナーレの打ち上げ花火です。
打ちあがった花火を撮るか、花火を見上げる人々を撮るかで悩みながら撮った写真。

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/320 f2 ISO100

川遊びに夏祭り、夏ならではの雰囲気をお届けできたのではないでしょうか。

SONY α7SⅢ / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/200 f2 ISO3200

この作例を撮っていたのは7月下旬。東京は連日の猛暑です。日中はあまりにも暑いので夜景を撮ることに。テーマとしては東京のランドマークっぽい写真のスナップ。
100mmという焦点距離は、効果的な圧縮効果を見せてくれます。手前の車と奥の東京タワーを、バランス良く配置することで、奥行き感のある写真に仕上げることができました。

SONY α7SⅢ / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/100 f5.6 ISO1250

東京のランドマークは何があるかな?と考えながら辿り着いた日本橋。阿吽の麒麟像を撮っているとタクシーがファインダーの中に入ってきました。なんとなくタクシーって東京っぽいなと思いながらシャッターを切りました。

スナップ撮影においては、広角レンズを愛用している私にとって、100mm という焦点距離は、まるで別世界です。ポートレート撮影では、被写体との絶妙な距離感を容易につかむことができた100mmですが、街角でのスナップとなると、その距離感の掴みにくさに、正直、戸惑いを隠せませんでした。
しかし、そこにこそ、新たな発見があります。普段、広角レンズで捉えることの多い風景を、あえて中望遠で切り取ることで、これまで見慣れたはずの街並みが、全く違う表情を見せてくれることに気づきます。
まるで、長年連れ添ったパートナーと、初めて二人で旅に出たような、そんな感覚でしょうか。
見慣れた風景も、新しい視点で見つめ直すことで、これまで気づかなかった美しさに気づくことができる。
中望遠レンズでのスナップ撮影は、そんな喜びを教えてくれました。

コンタックス Carl Zeiss Planar T* 100mm F2を使ってみて

SONY α7R IV / Carl Zeiss Planar T* 100mm F2 1/100 f2 ISO100

今回は、Carl Zeiss Planar T* 100mm F2をソニーのミラーレスカメラα7R IVとα7s Ⅲで使いまし
た。
Carl Zeiss Planar T* 100mm F2を使って感じたことは、「シャープさと潤いのある描写」です。
開放 F 値で撮影すれば、息をのむほど美しいボケ味が、被写体を幻想的に浮かび上がらせます。
絞り込めば、シャープで緻密な描写が、被写体の持つ本来の美しさを引き出します。光を捉えるのが非常に得意で、どんな状況でも、その場の空気感、潤いを写し出してくれます。
「ミラーレスカメラ×オールドレンズ」というテーマでお届けしているこのシリーズ。
これからも、いろいろなオールドレンズを紹介していきます。
ぜひ、お手持ちのミラーレスカメラでオールドレンズを活用し、その特性を楽しんでみてください!


筆者:山本 洵
埼玉県戸田市出身。
メインフィールドは旅行系メディアでの撮影・執筆。 株式会社三和オー・エフ・イー所属。

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