内倉 可南子 さん
旅行情報を中心に執筆を行う。 趣味は旅行、カメラ。風景や人、動物を撮るのが好き。被写体としてモデルも兼任する。 株式会社三和オー・エフ・イー所属。
内倉 可南子 さんの使用カメラ
内倉 可南子 さんの使用レンズ
デジタルカメラの進化が目覚ましい現代において、オールドレンズとミラーレスカメラの組み合わせが注目を集めています。
オールドレンズのユニークな写真表現はクラシックな味わいを持った作品を生み出すことができます。
コンパクトなミラーレスカメラとオールドレンズの相性はぴったりです。
今回は「ペンタックス Super Takumar 50mm f1.4」をレビューしていきます。
ペンタックス SuperTakumar 50mm f1.4はオールドレンズ界隈では名の知れたSuper Takumarの標準レンズです。
今回、ミラーレス一眼「ソニーα7CⅡ」に装着して撮影してみました。
「Super Takumar」シリーズは、1960年代頃に旭光学(現リコーイメージング)が製造・販売したフィ
ルムカメラ交換用レンズです。当時では最先端の技術が搭載され、多くのカメラ愛好家に人気の高いレンズでした。その性能の良さや魅力は現代にも受け継がれ、今ではオールドレンズを代表する存在となっています。
今回ご紹介するSuper Takumar 50mm F1.4は、1964年の東京オリンピック開催頃に発売された
オールドレンズです。1964年はフィルムカメラのベストセラー商品である「アサヒペンタックスSP
(スポットマチック)」が発売された年でもあり、当時ペンタックスはカメラ、レンズ共に広く親しまれていました。
Super Takumarのレンズは55mm F1.8が代表的な存在ですが、より明るくボケ感が強く出る
50mm F1.4もまた、オールドレンズの王道中の王道として知られています。どちらのレンズも虹
色のフレアが出るのが最大の特徴で、オールドレンズならではの印象的な表現が魅力。逆光で
撮影することで、印象的な虹色のフレアが楽しめますよ。
焦点距離は50mmの標準レンズで、ポートレートやスナップ、風景撮影など幅広いシーンで活躍しま
す。絞り開放はF1.4と非常に明るいため、暗い場所での撮影も可能。虹色のフレア以外は癖が少なく、
オールドレンズ初心者におすすめしたいレンズです。
以下はSuper Takumar 50mm F1.4 の基本スペックです。
メーカー:旭光学(現リコーイメージング)
マウント:M42マウント
レンズ構成:初期・前期6群8枚(8枚玉) 後期6群7枚(7枚玉)
実測値:約250g
発売年:1960年代
Super Takumar 50mm F1.4のレンズ構成は、発売された前期、後期で異なります。
再初期と前期8枚玉レンズは市場にあまり出回ってないレアなレンズ。
後期7枚レンズはアトムレンズとも呼ばれ、屈折率を上げて描写力を向上させる「酸化トリウム」が含まれています。酸化トリウムは経年劣化で黄変するのが特徴で、そのままの黄色い色味が出た写真を楽しむファンも多くいます。
後期のレンズは市場では広く出回っていて、比較的安価で購入することができます。
オールドレンズを使い分けるなら、選択肢の一つとして持っておきたいレンズです。
Super Takumarのレンズをデジタルカメラに装着するには、マウントを変換するアダプターが必要です。マウントアダプターを使用してデジタルカメラで撮影することで、オールドレンズの持つ味わ
いを現代のカメラ技術で再現することができます。
今回の撮影で使用したマウントアダプターは「NEEWER M42-NEX」です。
Super Takumarのレンズマウントは、「M42マウント」で統一されているので、M42マウント用のアダプターを一つ持っていれば、すべてのSuper Takumarレンズへ交換することができます。
M42マウントアダプターは比較的安く購入でき、Super Takumarのレンズをコレクションして使い分けることができますよ。
ここからは、実際にSuper Takumar 50mm F1.4を使って撮影した作例をご紹介していきます。
まずは自身がモデルとなりながら、ポートレートやスナップを撮り歩いてみました。
こちらは雨上がりの朝、水が滴る緑の葉っぱが垂れ下がっている様子。
手前の葉っぱをボケさせて、真ん中の葉っぱにピントを当てることによって、背景のボケ感との組み合わせが立体感のある1枚になりました。
50mmの単焦点レンズは、程よい距離感でモデルの全身を写すことができます。
ポートレートにぴったりなレンズです。
なんでもない住宅街の一角での撮影も、周辺減光がしっかりとでているため味のある写りに。
マフラーの赤色ははっきりと色が写し出されています。
50mmなのである程度近い位置でのポートレートも綺麗に撮ることができます。
被写体の描写は髪の毛の細かな部分まで美しい写りに。
背景はボケが強く出ることによって被写体を目立たせてくれています。
奥行きのある写りやしっかりとした色の出方がSuper Takumarの良さを感じさせます。
公園の遊具の中にひっそりと散りばめられているイチョウの葉。
遊具のフレーム越しに、中を覗き込む風景が浮かび上がるように撮影しました。
さすがSuperTakumar 50mm F1.4と言わんとばかりの発色の良さが際立ちます。
遊具のサビ感や砂のじゃりじゃり感の伝わる1枚になりました。
日本にいれば比較的どこにいても遭遇するであろうハトを主役にしてみました。
ゆがみのないすっきりとした写りがSuper Takumar 50mm F1.4で撮る醍醐味。
ハトの首元にある緑や紫のカラーが綺麗に写っています。
周辺減光がしっかりとでているため、真ん中に位置しているハトにスポットライトが当たっているかのように仕上がりました。
逆光でありながら被写体がシャープに映し出されています。右下にうっすらとフレアが出ていることで趣が感じられます。
背景のボケは、逆光にしては溶けが少なく写っているのも、Super Takumar 50mm F1.4で撮る魅力の一つと言えます。
ゴーストの出方が知りたくて、車のヘッドライトで作ってみました。
ヘッドライトの周辺に虹ゴーストが数個出ているのが分かります。試しに撮った駐車場での1枚
が、虹ゴーストによってアーティスティックな雰囲気になりました。
こちらは太陽光で出た自然なフレアゴーストが写りました。
何気ない住宅街も、虹ゴーストがはっきりと写ることによって「エモい」という表現がぴったりな1枚です。
F値を開放で撮っているにも関わらず、被写体はシャープに写しだすことができるのが、このレンズの魅力です。
Super Takumar 50mm F1.4の開放F1.4でイルミネーション撮影。F値が低いことによって、夜の
撮影でも綺麗に表現することができます。イルミネーションのライトやライトに照らされた木の部分
が、思っていた以上にハッキリと写りました。
同じ場所でF8で撮影してみました。イルミネーションの光が星のようにピカンと煌めいて撮ることができました。
シャッタースピードを下げ、ISOを上げることによって、動いている人はサッとボケて、イルミネーションの輝きを際立たせてくれています。
さらにイルミネーションを引きで撮ってみました。
大きな木に巻きつけられたイルミネーションライトがじんわり滲んでいて、可愛らしい印象に。
イルミネーションを行きかう人々の様子や、ライトの滲み具合から、冬の雰囲気が伝わってくるような1枚に。
商店街の入り口に垂れ下がった提灯たち。
F値を少し絞ると、開放で撮った時の柔らかな印象とはまた違った、はっきりとした写りになります。
周辺のボケ感も少なく、全体的にシャープで現行レンズのように綺麗です。
色味は若干黄みがかったような写りなので、その点はオールドレンズとしての魅力と言えるでしょう。
今回は、ペンタックス Super Takumar 50mm F1.4をソニーのミラーレスカメラα7C IIと組み合わ
せて使いました。
ペンタックス Super Takumar 50mm F1.4を使ってみると、その優れた描写力と美しいボケ味、操作性の良さが非常に魅力的なレンズであると感じました。
マニュアルフォーカスに慣れる必要がありますが、他のオールドレンズに比べると、操作感は難しくありません。
このレンズを通じて、写真の奥深さをさらに探求していける1本になること間違いな
しです。
「ミラーレスカメラ×オールドレンズシリーズ」は、ミラーレスカメラとオールドレンズのそれぞれの魅力をもっと深く知ることができるコンテンツです。自分なりのオールドレンズとミラーレスカメラを組み合わせて使う楽しさを見つけ出していきましょう!
著者プロフィール
内倉 可南子
旅行情報を中心に執筆を行う。
趣味は旅行、カメラ。風景や人、動物を撮るのが好き。被写体としてモデルも兼任する。
株式会社三和オー・エフ・イー所属。