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カメラについてようやく詳しくなり始めたのは大学に入ってからである。それまではなんにも知らずに買ったEOS Kiss X9iと共になんとなく写真を撮っていただけだった。それが大学に入ってこの写真部に入ったが最後、写真・カメラ沼につかり始める様である。
フィルムは祖父が残したNikomat FTNと共にモノクロで始め、そこで今なおフィルムが使われていることを知ったが、そこで私はある願望に取りつかれる。
「中判リバーサルがやりたい!」
ネガとポジ、フォーマットの違いを知った直後である。友人の見せてくれた中判リバーサルのフィルムがあまりにも綺麗でそう思った。もちろん135にもポジがあるのは重々承知であるが、フォーマットはデカければデカいほどいいのである。
しかし、中判は高い。いや安いので良ければ意外とあるが、せっかくなら良く撮れる写真機を使いたい。そんな折にREさんからのお話をいただいたので、迷わず僕はmakina67を借りた。
makina67は一度は触ってみたかったカメラである。カメラ初心者の僕でも知ってるカメラだがいかんせん高い。そんなことをREさんに伝えたら快く貸していただいた。
ありがたい限りである。
ILCE-7M4 FE20-70 F4 1/80 ISO320 凛々しい顔立ちである。
以下は私とmakina67のお散歩の記録である。私はこうは言っているものの機材に関してはからきしなので詳しい使用感は述べられない。そこだけ注意してほしい。
フィルムはまずKodakのGold200をいただいたので、それを使うことに。
アールイーカメラさんは御徒町にあるのでとりあえず上野に向かったが、標準レンズ故に動物園は向かないため、急遽浜の離宮へ向かうこととなった。
やはりフォーマットは大きければ大きいほどいい。Makina67自体はさほど大きいわけではないが、しっかりとした重量感がある。露出計はついているものの、スマホのアプリのほうが正確だということでそちらを使った。
こちらは少し露出が強かったが、ネガフィルム故耐えてくれたように思える。とても解像度が高く、デジタルとあまり変わらないようにも思える。
こちらも露出が強いかつ、すこし手前の松にピントが合っていない。makina67はレンジファインダーのカメラであるが、レンジファインダーを使ったのは生まれて初めてであり、最初は少々手間取った。
しかししっかりと像の重なるところが分かるために慣れれば合わせやすい。
ただ、コイツはレンズにピントリングがついているのではなく、シャッターボタンのところにピント合わせがある。
そのためしばらくはついついレンズを触ってから「…ピントリングなかった」となっていた(笑)。
この日は9月に突入したにも関わらず、終夏…?というような天気だったのでほとんど絞って撮っている。燦燦とした太陽に照らされたマンション群と、暖かいGold200の色合いがよくマッチしている。風があって波が立ってたのは少し残念だった。
120フィルムは67の場合10枚しかないのでいつまでも撮り終わらない悪夢におびえることなく、一枚一枚向き合って撮ることが出来る気がする。結局Gold200は借りた日のうちに9枚撮り終わってしまった。
次の日、リバーサルフィルムを横浜で買うついでに、みなとみらいを歩き回ることに。
だいぶピント合わせに慣れ、楽に合わせられるようになった。この日もSony α7IVとmakina67の二台持ちをしていたが、(隣の人間がバケペンとα7IVを持っていることを鑑みれば)やはり軽い。Makina67はレンズを収納すればほぼ直方体の塊と化すのでかさばらず持ち運びはとてもしやすいし、これで67が楽しめるなら重さはこれ以上なにも言うまい。
無事Velvia50を手に入れたのでここからリバーサルフィルムとなる。
弊サークルのスキャナーで取り込んだものだが、若干画質が悪いのはお勘弁を。さきほどのGold200とは違って青味の強いフィルムである。感度が下がっているのでこちらのほうがよりシャープに映る。この日も快晴だった。
横浜駅からひたすら海辺に歩いて、ラーメン博物館の前あたりまで来た。およそ歩く距離ではない。Velvia特有の青さがはっきりと出すぎてしまったような気がする。ひたすら無限遠で撮っているが、像がぶれないのはありがたい。
更に歩いて、ここは大桟橋。ガラス越しに船を覗く。レンズ固定式のためにカメラが重すぎないので首にかけて歩けるし、いい景色があったらすぐに展開してシャッターを切れるのは中判らしからぬ手軽さではないだろうか。
最後は開放で撮影。周辺減光はそれなりにあるのが確認できる。Makina67はぎっちりと密度が高いので私は1/15が限界だが意外と低速シャッターでもなんとかなる。強い夕焼けとVelviaの色味ですごいことになってしまった。
さて、ここまでリバーサルのスキャン写真を紹介してきたが、やはりリバーサルと言えばこれである。
いや~!これが見たかった!!!
実体として景色を切り取った中で、これほど嬉しいことはない。データ上で見るのと肉眼でフィルムを見るのは全然違うと思う。
急遽iPadをライトボックスとして撮ったので橋が切られてしまっているが、それでも綺麗である。まだ中判リバーサルをやったことのない人はぜひやってみてほしい。
今回はアールイーカメラさんの企画でmakina67を貸していただいた。先述したが67なのに嵩張らない。でも軽すぎず、安心のある重量感で初のリバーサルを楽しむことができた。makina67なんて次にいつもつか分からないようなカメラなので今回借りれたのはとても大きく、良い経験となった。この場を借りて、アールイーカメラさんにはお礼を申し上げたい。ありがとうございました。
筆者:早稲田大学写真部 kawashima
普段は風景撮影を主に写真を撮影。
Instagram : @shishiyamo_picture