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オールドレンズは昔に製造された古いカメラレンズのこと。これらのレンズは、現代のレンズとは異なる独特の描写や質感があり、特にフィルムカメラ時代のレンズが多く含まれます。
オールドレンズの魅力はそのレトロな外観だけでなく、「背景のぐるぐるボケ」や「ふんわりやわらかな表現」など、個性的なボケ味やノスタルジックな色合いにあります。最新のレンズにはない「味わい」を求める写真愛好家にとっては、オールドレンズは宝物のような存在。
オールドレンズは製造された時代やメーカーによって特徴が大きく異なり、同じ焦点距離でもレンズごとに異なる描写を楽しむことができるのも魅力のひとつです。
「Super Takumar 55mm f1.8」は、1960年代から1970年代にかけて日本のカメラメーカーである旭光学工業(現在はリコーイメージング株式会社)が製造したレンズです。最初の1本として使うオールドレンズでは人気の1本。
初期型が1962年、前期型が1963年、後期型が1965年に発売されました。見分け方は、レンズに書かれている製造番号の位置から判断することができます。
「Super-Takumar」と書かれた文字の前に製造番号があれば初期型か前期型、ASAHIの文字の前に製造番号が書かれていれば
後期型です。※初期型と前期型の見分け方はレンズにある指標ですが、この記事では省略しま
す。
今回使用するレンズは前期型「Super Takumar 55mm F1.8」。
ミラーレスカメラはフランジバック(レンズ後端からイメージセンサーまでの距離)が短いため、多くのオールドレンズと相性が良いです。
オールドレンズを装着して楽しむにはアダプターを装着します。
アダプターというのは、異なるメーカーやシステムのレンズとカメラボディを接続するための装置のこと。
「Super Takumar 55mm f1.8」のマウントはM42。
このレンズをミラーレスカメラで使うには、M42と持っているカメラのマウントに合うアダプターを利用します。オールドレンズを組み合わせるのに人気のSONYのαシリーズなら「M42-NEX」などと書かれたアダプターを利用します(表示はアダプターを販売するメーカーにより異なります)。
このようにアダプターを利用すれば、オールドレンズをミラーレスカメラに装着して使うことができるようになります。
例えばSONYのミラーレスカメラα7cの場合、設定を以下のように行います。
・「レンズなしレリーズ設定」を「許可」にする
・「ピーキング表示」を「入」にする ※1
・「撮影モード」を絞り優先にする ※2
・「ISO感度」をオートにする
・「手ぶれ補正」を「入」にする
・「手ぶれ補正設定」で焦点距離をレンズに合わせて設定する
・「DRO/オートHDR」をオフにする ※3
※1:ピーキングというのはピントが合った部分に色を付けて表示してくれるSony α7cの機能のこと。「入」にすることによってピントがあっているかどうかをわかりやすく判断できるようになります。
※2:オールドレンズは絞り羽が動いてカメラに入ってくる光量が変動します。カメラで絞り優先モード(A)にすることによって、自動でシャッタースピードを設定してくれます。
※3:DRO=Dynamic Range Optimizerの略で、画質の明暗の差を最適になるように自動補正する機能のこと。
暗い部分を黒く締めたい時などはオフにすることでイメージした表現が可能になります。
絞りはレンズの絞りリングをまわして調整、ピント合わせは手動でレンズを回転させてピントを合わせます。古いレンズならではのこの操作は最初は慣れないかもしれないですが、慣れてくるとなかなか楽しいもの。
では早速、作例を見ていきましょう。
夏の真っ盛りに外で草花を撮影。夏のギラギラした景色がふんわり優しい秋色に、周りの空気まで映したかのような描写になりました。
ピントが甘いものもありますが、それはそれで雰囲気のある一枚に。
ぼんやりノスタルジックな雰囲気に写せるのはオールドレンズならでは。どれが正解というのはなく、表現を楽しむのが楽しいレンズ。
オールドレンズを通してファインダーをのぞいてみると、普段見慣れた風景が少し新鮮に感じられます。
現代のレンズでは得られないやわらかな描写や、独特のボケ味、色味など、フィルムカメラで撮ったようなノスタルジックな雰囲気を醸し出すことができます。
ときどきオールドレンズを使ってみることで、撮影のプロセスそのものが楽しくなったり、新たな発見があったりと、表現の可能性を広げてくれます。
ちょっとした冒険心を加えて、オールドレンズで新しい視点から日常を切り取ってみてはいかがでしょうか。