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Summicron 35mm 1stレビュー【伝説の8枚玉】ライカ Summicrom 35mmが現代のミラーレスで蘇る。

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Summicron 35mm 1stレビュー【伝説の8枚玉】ライカ Summicrom 35mmが現代のミラーレスで蘇る。

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Leica Summicron 35mm 1st

今回のレンズはライカ Summicron 35mm F2 8枚玉です。
このレンズはライカ製のオールドレンズですが、まずはその歴史について触れておきましょう。
名称のSummicronとは、ライカのレンズにおいて開放F値が2であるレンズを指します
8枚玉というモデルは、ズミクロン35mmの初代に当たり、1958年から1969年にかけて製造され
ました。
レンズが6郡8枚で構成されているため通称8枚玉と呼ばれています。
また、シリアル番号から製造年を割り出す事ができるのですが、1963年製のレンズでした。
当時から高性能で、現在では伝説のレンズと呼ばれており、ライカ35mmレンズの中でもかなり
高値で取引されます。
ちなみに、ドイツとカナダで製造されており、ドイツ製のほうが数が少なくレアです。

外観と操作感

次にレンズ本体の外観と操作感です。
本体の第一印象は「小さい・短い」でした。
35mmレンズとはいえ、開放F2となれば現代のレンズでもそれなりの大きさがあります。
しかしこのレンズは小さく、さらには短いです。マウント側のリアキャップを外せば、レンズの直径
より全長のほうが短く、
重量も150gと軽いので、まさに「手のひらサイズ」のレンズと言えます。

レンズの絞りリングはF2からF16まで1段ごとに変更できるようになっています。1段ごとに軽くク
リックがあります。
最短撮影距離は0.7mとなっており、ピントリングは無限遠〜0.7mまで約140°ほど回す必要があ
ります。
また、ピントリングにはフォーカスノブがついています。
現代のレンズにはまずついていない機構のため最初は戸惑いますが、慣れてくるとノブの位置で
今どの距離にピントがあっているかわかるようになります。ノブに指を引っ掛けることでピントリン
グも非常に回しやすいです。
さらにこのフォーカスノブには、ツメがついており、無限遠まで回すと「カチッ」とロックされる機構
になっています。
この無限遠ロックが非常に気持ちよく、意味もなくカチカチやってしまうほどです笑
この時代のライカレンズは作りが非常に良く、60年ほど経った今でも正常に動作するのです。

次は実際に作例を見てみましょう。
今回は、SONY α7IIIにマウントアダプターを装着して撮影をしています。作例はすべてJPEG撮っ
て出しです。
周辺減光と絞り値による違い
このレンズはかなり周辺減光が強く、絞りを絞るにつれて改善されていきます。

Summicron 35mm F2 8枚玉 作例

この写真は、2枚連続で絞り値を変更して撮影しました。ピントは中央遠くに見える岩に合わせて
います。
1枚目がF2開放、2枚目がF8です。
1枚目は四隅がかなり暗くなっています。2枚目は減光はしているものの1枚目に比べると気にな
らないほどに解消されています。
また、1枚目はハイライト部や周辺に滲みが見られます。
全体的にふわっとした印象です。
一方2枚目は、全体的にしっかりと写っており、コントラストも高い印象です。
このレンズを使用する上で、滲みや周辺減光などのいわゆるオールドレンズらしさを最大限に発
揮するなら開放での撮影一択となります。
以下の作例も基本的には開放F2で撮影しています。

フレア

オールドレンズといえば、フレアやゴーストを期待する方も多いのではないでしょうか。
今回、作例を撮影した日は晴れており、レンズフードは装着しない状態で撮影を行いましたが、
思ったほどフレアやゴーストが発生するシチュエーションは多くない印象でした。
もちろん、現代のレンズと比較すると発生しやすいですが、コントロールしやすく、嫌な色や形で
はないため入り込んでもかなり雰囲気のいい写真になります。

作例は、レンズを太陽に向けて、わざとフレアを発生させる状況で撮影しました。
フレアは輪が二重に重なるように発生します。
フレアの輪郭は赤、青など虹色で出ている印象です。

色味

ちょうど、カラフルな被写体があったので、1枚。

1960年代のレンズとは思えないほど、色味も鮮やかに出ます。
光が当たっている中心部も光が当たっていない下部も鮮やかさはしっかり保たれています。
また、歪みも大きくなくほとんど気になりません。

最短撮影距離

このレンズの最短撮影距離は0.7mです。Mマウントのライカのカメラはその機構により、0.7mより
近くにピントを合わせることができません。近年のレンズでは、さらに寄れるレンズもありますが、
オールドレンズにおいてあ0.7mより寄れるレンズはありません。
0.7mというと、カフェでテーブルに座って眼の前の食べ物にピントを合わせようとすると近すぎて
合いません。
椅子から立ち上がって食べ物を見下ろし、ギリギリピントが合うくらいの距離感です。

座ったままピントを合わせようとすると、向かいに座っている友達のパンケーキにピントが合って
しまいます。
(これはこれで、雰囲気があって好きですが…)

このレンズは焦点距離が35mmで最短撮影距離の0.7mまで寄っても、周りの情報が入りやすくカ
フェでテーブルフォトを撮影する場合は周辺に物を配置するなど工夫するといいかもしれません。

玉ボケ

夕方、車内から外に向けてシャッターを切りました。

対向車や信号などの光源が玉ボケになっています。
よく見ると、玉ボケが縁取られたように見えます。
いわゆるバブルボケが発生するレンズです。
しかし、すべての玉ボケがバブル状になるわけではなく、より強い光源であれば、きれいな玉ボ
ケになるようです。

スナップ作例

ここからは、このレンズで撮影したスナップ写真をいくつかご紹介します。
先ほども登場したかざぐるまが有名な神社です。
大晦日ということもあり、境内は人が少なく静かな時間が流れていました。

大晦日ということもあり、境内は人が少なく静かな時間が流れていました。
その中で、参道を歩く親子をかざぐるまを入れて撮りました。
参道の石畳と二人の黒っぽい服がちょうどよく、シルエットが可愛く写っています。
前景のかざぐるまもあり、奥行きが感じられる1枚です。
広い黄色い壁に、ぽつんと黄色コーン。
非常にシンプルな構図ですが、35mmであれば1歩下がるだけで広い壁をより大きく見せることが
でき、コーンの存在が引き立ちます。

封鎖中のエレベーターを1枚。

この写真で感じたのは、金属の質感の表現が上手であるということです。
「触ると冷たいんだろうな」というところまで伝わってくる1枚です。
今回のベストショットはおそらくこの写真。

2025年1月1日に初日の出を撮影した写真です。
眼の前には海が広がり、初日の出を見る人達から一歩下がって撮影しています。
薄暗い状況ですが、空のオレンジから青へのグラデーション、人々のシルエット、雲の陰影をしっ
かりと描写できています。
上部にゴーストが映り込んではいますが、そこまで目立たず嫌な感じではありません。
中心に太陽を捉えているので、フレアが発生したりやコントラストが低下したりと影響が出ると
思っていましたが、さすがライカのレンズと思いました。

Summicron 35mm F2 8枚玉を使ってみて

ライカのレンズは持っているだけでテンションが上がりますが、今回の8枚玉は「伝説のレンズ」と
評されるだけあって、その所有欲は計り知れないものがあります。もちろん、写りもよく、それでい
て写りすぎないところも素晴らしいレンズでした。
周辺減光が強く出るレンズのため、中心に明るい被写体、周辺に暗い背景を選んで撮影すると
かなり印象的な1枚になります。
間違いなく、このレンズは日の丸構図がしっくりくるレンズです。
この素晴らしい写りと鏡筒の精巧な作りは一生のうちで一度は味わってみたいものです。


■今記事で紹介した商品

Summicron 35mm
ソニー α7 III ILCE-7M3

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