【撮影テクニックガイド】花火撮影のコツ
【撮影テクニックガイド】花火撮影のコツ
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気温が上がり、本格的に夏の到来が実感されるこの季節。夏に狙いたい被写体といえば「花火」
はないでしょうか。

夏の夜を彩る花火、夏ならではの非日常的なモチーフを、どうせなら美しく切り取りたい。写真を趣味
にしている人なら、一度はそう思ったことがあるはずです。
花火は夜に行われることが多いため、撮影のアプローチとしては夜景と同じく、「暗い環境の中で光
を放っているものを撮る」
形になります。ただし、花火はずっとそこにあり続けるものではなく、数秒もすれば消えてしまう「動体」でもあるのです。花火を綺麗に撮影するためには、この動体としての花火をどう捉えるかが大事になってきます。

今回は、夏がくる前に押さえておきたい「花火撮影のコツ」を解説します。花火撮影に最適な機材や
設定、ロケーション選びなど、花火撮影で意識するべきことを網羅的に解説しますので、この記事を
参考に、美しい花火を写真に残してくださいね。
花火撮影において理想的なのは三脚を使用した長時間露光撮影ですが、スマホや一眼カメラの手
持ちでも撮影できますよ。

花火撮影をうまく行う設定・撮り方

花火撮影においてもっとも大切なのは、設定や撮り方でしょう。
近年では撮影技術の向上により、スマートフォンやコンデジなどのフルオートの撮影でも気軽に、綺
麗に花火が撮れるようになってきています。しかしながら、設定・撮り方を工夫しないと色合いが微妙
だったり、ブレて締まりのない写真になってしまったりします。これは、花火が暗い環境で撮影される
ものだからで、花火を綺麗に抑えるためには、夜間撮影に特化した設定や撮り方の工夫が必要で
す。
ここではまず、花火撮影において最適な撮り方や設定例を解説していきます。

撮り方は「高感度撮影」か「長時間露光」

花火を撮る場合、多くの人は「高感度撮影」(手持ち)あるいは「長時間露光」(三脚使用)で撮影する
のではないでしょうか。
高感度撮影は、絞りを開けて感度を高めに設定することで明るめに撮影する方法です。一方、長時
間露光は、より多くの光をレンズに取り込めるよう特殊な設定(バルブ設定)を行って撮影する方法。
どちらもより明るく撮影するためのアプローチですので、花火をはっきりと明るく撮れる点では共通し
ています。
高感度撮影では、肉眼で見えるよりも多くの光を取り込み明るく撮影でき、動きとしては見たままの
美しさをそのままに写真に収めることができます。一方、長時間露光では花火が上がっている間ずっ
と光を取り込み続けるため、花火の光は現実よりも滑らかになり、かつ綺麗に撮影でき、幻想的で肉
眼よりも美しい写真を残すことが可能です。

シャッタースピードは遅めが望ましい

花火撮影において気をつけるべきなのは、「明る過ぎないこと」と「シャッタースピードの遅さ」が同時に求められるということです。
花火というのは常に状態が動いている「動体」ですが、通常の動体を手持ち撮影する場合、シャッ
タースピードが遅すぎると手ブレや動体ブレなどで絵がブレて不明瞭な描写になってしまうため、
シャッタースピードは基本的に速めに設定するべきです。
しかし、花火の場合は違います。シャッタースピードを速くしてしまうと、花火の醍醐味である光の線、いわゆる「軌跡」が映らず、パッとしない写真になってしまうのです。

三脚などカメラを固定する器具があれば、シャッタースピードをなるべく遅くする方が、花火ならでは
の光の線がより長く映るため、花火写真として迫力のある絵になります。

三脚を使用して10秒単位でシャッターを開けるバルブ撮影をする場合は、感度は極限まで下げ(
ISO100または200)、絞りもかなり絞らないと(F16〜22)、明る過ぎる写真になるので注意しましょ
う。
もし手持ちで撮る場合には、シャッタースピードは1/2〜2秒、頑張っても4秒ほどが限界でしょう。その
代わり、絞りはF4〜5.6と標準レンズの開放程度まで開けてOK。ISO感度も、ISO1000〜3200程度
のちょうどいい明るさで、画質を損ねない程度に感度を上げるのも大丈夫です。

花火撮影をうまく行うために必要な機材

花火撮影を行うための設定や撮り方の解説をしました。
しかしながら、こうした設定や撮り方をより生かすために、機材面でも必要なものがあります。
ここでは、花火撮影をうまく行うために必要な機材、あるといい機材などを紹介していきましょう。

カメラはフルサイズ一眼レフが望ましい

カメラは、できればフルサイズセンサーを搭載した一眼カメラ(一眼レフやミラーレス)があると理想です。
花火撮影においてフルサイズの一眼カメラを薦める理由は、フルサイズセンサーの方が他のセンサーに比べて高感度耐性が高い、というのが第一です。
フルサイズであれば、ISO感度を多少無理な範囲に上げてもノイズが発生しにくいので、花火撮影のように暗所での撮影の際により美しく明瞭な絵が撮影できます。
また、花火のスケール感を出すための画角を検討する上でも、フルサイズセンサー搭載であれば広
い視野角を確保できるから、という理由も大きいでしょう。

手ブレを抑えるための機材

花火撮影など暗所での撮影においては、「手ブレ」が大敵となります。たとえフルサイズの一眼カメラ
を持っていても、手ブレをしてしまっては折角の性能を活かすことができません。
手ブレを抑えるために考えられる方法としては、手ブレ補正機構を備えたレンズ・ボディを揃えること。近年では、レンズ内手ブレ補正機構だけではなく、ボディ内手ブレ補正機構を持った一眼カメラも多く出回っています。

しかし、ボディ内手ブレ補正機構を持ったカメラボディは価格も高く、ライト層にはなかなか手が届き
ませんし、長時間露光では手持ちで撮影するとどうやってもブレが出てしまうものです。
なるべく価格を抑えつつ手ブレも抑える方法としては、「カメラ用三脚」及び「レリーズ・ワイヤレスリモコン」を使用する方法があります。

三脚はご存知の通りカメラを立てて固定するための装備です。
しかし、三脚で固定したとしてもシャッターボタンを押すとその衝撃で絵がまたブレてしまいます。
レリーズ・ワイヤレスリモコンを接続することで、カメラボディに搭載されたシャッターボタンを物理的に押す必要がなくなりますので、手ブレを防ぐことができるわけです。
花火撮影の場合、シャッタースピードを遅くするほど幻想感のある写真が撮れるため、三脚とレリー
ズを使って手ブレしないように長時間露光をする人が多くいます。

光の白飛びを抑えるための機材

花火撮影では明るさが求められると説明しました。しかし、あまりに設定・絞り値・感度などが明るす
ぎると、花火が明るく写りすぎてしまい、明るい箇所が白飛びで不明瞭になってしまうリスクがありま
す。
白飛びを防ぐためにシャッタースピードを速くしたり、感度を下げたりすることもできますが、そうすると逆に暗くなってしまったりして、うまくいかない場合も多いかもしれません。

こうした時に、光の白飛びを抑えるためにあると良いのが「NDフィルター」。NDフィルターとは、レンズに取り付けることによってレンズから入ってくる光の明るさを暗く調整してくれるフィルターのこと。
NDフィルターを使用すれば、明るすぎ・暗すぎのバランスがうまく中和されて、明るすぎず暗すぎな
い絶妙な塩梅で写真を撮ることができます。目安としては 2〜3段分がおすすめです。

花火撮影をより美しく行うコツ

以上のように、カメラの設定や撮り方を工夫し、機材選びを工夫し備品を揃え、花火をブレずにある
程度美しく撮影できるようになったとしましょう。
それでも、プロが撮る綺麗な花火写真とはどうしても差が出てしまうもの。ここからは、基本から一歩その先へ進み、プロになるべく近づくために、綺麗な花火写真を撮影するために、さらに意識すべきポイントを解説していきます。

広角レンズでスケール感を出す

レンズを一通り持っている方は、広角レンズを使ってダイナミックな画角を狙ってみましょう。
広角レンズとは、簡単に説明すれば「より近い距離でより広い範囲を撮影できるレンズ」のこと。
花火を撮る際には位置の調整が非常に難しいもので、遠すぎると花火が小さくなってしまいますし、近すぎると全体が映りません。
また、花火には「仕掛け花火」など花火の打ち上げ場所全てを広く使ったダイナミックな演出のものもあり、通常のスマホなどではなかなか画角に収めることができないことが多いでしょう。
そうした時に、広角レンズ・超広角レンズなど画角が広いレンズを使うことで、特に近すぎて画角に収
まらない場合に、より広い画角で撮影でき取りこぼしがなくなります。
それだけでなく、「真ん中のものがより大きく映る」広角レンズの特性を活かして、メインの花火がより大きくなり、ダイナミックに写すことができるのです。

花火が最も美しく見えるタイミングでシャッターを押す

花火というのは、地上から真っ直ぐ上がり、空中で炸裂し大きく花開き、ぱらぱらと霧散するように消
えていきます。
このような一連の動きの中で花火が最も美しく写るのは、花火が大きく花開いた瞬間でしょう。
こうしたタイミングを狙ってシャッターを切ることで、花火の最も連続で花火が上がる際には、複数の花火が同時に開く中で先に開いた花火が霧散していく様子も美しいです。
目安となるタイミングとしては、花火玉が炸裂し「ドーン」という音が大きく響く瞬間です。
また、より厳密にピントを合わせる場合には、地上から空に登っていく花火玉を狙ってオートフォーカスでピントを合わせておき、花火が炸裂する前にマニュアルフォーカスに切り替えてピントを維持するなどのテクニックも使えます。

人や建物をシルエットで映り込ませ情緒的な表現に

花火だけを収めるのも良いですが、さらに情緒的な雰囲気を出すには、花火をみている観客越しに
花火を狙うことで、人々や建物などのシルエットをあえて写り込ませるといいでしょう。
シチュエーションによっては、花火が散った後の煙も幻想感を出すのに一役買ってくれる場合もある
ので、花火だけではなく、周りの状況も見ながら、色々な位置からシャッターを切ってみましょう。

花火撮影は手持ちでも可能!幻想感を出したいなら三脚を使おう

以上、手持ちでも可能な花火撮影のコツを解説しました。

花火は、通常の動体と違ってシャッタースピードを遅くすることで美しく写ります。そのため、絞り・感度・シャッタースピードの細かい増減によるきめ細かな調整が必要です。
手持ちの撮影の場合はシャッタースピードが速めな分、感度や絞り開放で明るさを出す。
逆に、三脚の場合は逆に感度や絞りを絞って、シャッタースピードをかなり遅くするといった具合に、何度も試しながら塩梅を探っていくと良いでしょう。
これからの花火シーズン、ぜひこの記事を参考に、素敵な夏の思い出を切り取ってくださいね。

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