高校2年生の時から鉄道撮影を始め、大学入学と同時に飛行機撮影に移行。昼の情景的ヒコーキ写真・夜の飛行機写真を中心に撮影中。Canonのカメラが大好きでEF時代以降の機材はほとんど把握している。最近の目標はいかにISO感度を下げて自分のできる限界までのスローシャッターで撮影できるかということである。
土井薫平の使用カメラ
土井薫平の使用レンズ
この度はカメラ・レンズを無償でレンタルできるという機会を提供してく ださり、誠に感謝申し上げます。
今現時点では決して使うことのできないよ うな機材をお貸ししていただくことができ、貴重な体験ができました。
私は、この企画をサークルからの全体連絡を通して知り、即日申し込みを させていただきました。
今後もこのような貴重な体験のできる機会を開催し ただけルト大変嬉しく思います。
今回、私はCanon EF 400mm F2.8 L IS III USMをお借りしました。この レンズを選んだ理由は、普段RF 70-200mm F2.8 L IS USM Zを使用してお り、夜の飛行機を撮影するときに焦点域が足りないと思うことがよくあったのと、最新のプライムレンズを使うとどんな画が撮れるのか気になっていた からです。
そして何より、ヨンニッパやロクヨンなどの単焦点レンズを見る たびに、そのカッコよさに感心していたので、一度近くで見て実際に使用し てみたいなと思っていたからです。
ここで、EF 400mm F2.8 L IS USM III の紹介をさせていただきたいと思 います。このレンズは一眼レフ用EFマウントの400mm F2.8の最新レンズ で、マウントアダプターを介してRFマウントに変換することで最新のミラー レス一眼カメラにも装着することができます。前世代の2型から1010gの軽 量化を達成しながらも、光学・メカ系の全面刷新、2枚の蛍石レンズと1枚の スーパーUDレンズを使用することによって色収差を良好に補正することで、 従来機種同等の高解像度・高コントラストを実現しています。
下の画像は今 回お借りしたEF 400mm F2.8 L IS USM IIIに私が普段から使用している Canon R6 mark IIを装着したものとRF 70-200mm F2.8 L IS USM Zを並 べて撮影したものです。400mm F2.8などの望遠単焦点レンズはもっと大き くて重いようなイメージだったのですが、大幅に軽量化されていてかつ、重 心位置が最適化されているおかげか、思ったより軽く、短いなという印象を受けました。
しかし400mmでF2.8という明るさを実現するための約16cm もある大きな前玉・巨大なフードには非常に驚きを持ちました。
私は普段、ベースの羽田空港や地方空港に遠征したりして、情景的ヒコー キ写真や夜の飛行機写真をメインに撮影しています。最近は、夜間の飛行機 をメインに撮影しており、その楽しさに惹かれております。撮影には流し撮 りの歩留まりを上げるため、Leofotoの三脚 LS-364C + ビデオ雲台 BG-15 を使用しました。(一部手持ちの写真もございます。)
1週間の撮影期間で、成田空港・羽田空港に毎日通い撮影してきました。
今回これらの写真を空港別に①成田空港②羽田空港の2部にわたって紹介さ せていただきたいと思います。
1週間のうちで4日間行き、夕方頃から十余三東雲の丘(通称B展)にて撮 影し、ANAのA380フライングホヌの1本目の離陸に合わせてヘリポートポ イントに移動しました。最終便のNCAアンカレッジ行きまで毎回5~6時間撮 影いたしました。
①ニュージーランド航空のブラック塗装機を撮影することができました。 400mmで開放から非常に高い解像感・高コントラストの写真は天気など関 係なしに、普段使用しているズームの望遠レンズとは別物の迫力が生まれま す。輪郭がはっきりとして、黒色の機体が際立ちB777-300ERのかっこよさ がより強調される1枚になったと思います。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/800
F値:2.8
ISO:1250
編集:Adobe Lightroom Classic
②雨天の日にニュージーランド航空のB777-300ERを撮影しました。レイン コートを着てレンズカバーをつけ、雨だけではなく風も吹く環境下での撮影 でしたが、このレンズのおかげで素晴らしい画を撮ることができました。雨 の中のフルリバースとB777の組み合わせは飛行機の迫力を倍増させてくれま す。下の滑走路の反射するライトやNAVライトが点灯している瞬間を切り取 れていることもこの写真のポイントです。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/250
F値:2.8
ISO:2000
編集:Adobe Lightroom Classic
③カタール航空B777-300ERを撮影しました。この便あたりの時間帯から 段々と日が沈んでいき、カメラの設定がより厳しいものへとなっていきま す。先に書いたように、私は最近夜をメインに撮影しているのでこの辺りか らが本番で気合を入れ始めました。夜の飛行機を撮影するときには、ほとん ど光がないので、光がない状態のまま流し撮りをしてしまうと単調な写真に なってしまいます。そこで、飛行機の灯火類がついているタイミングを狙っ て撮影するのが私の普段からの方針です。点滅する赤いアンチコリジョンラ イトが点灯している瞬間で、かつ、エンジン2つを写すことのできる角度で 撮影できたので満足のいく写真になったと思います。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/250
F値:2.8
ISO:2000
編集:Adobe Lightroom Classic
④十余三東雲の丘での最後の作例紹介となります。2024年4月からヤマト ホールディングスと日本航空との提携で運行を開始したヤマトグループ専用 機A321ceoP2Fを撮影しました。この写真のポイントは背景に光があること で写真に動きが生まれていることです。この光は空港地下道の出口にある街 灯や信号であり、流し撮りの効果で横に流れたように写っています。この流 れが飛行機に躍動感を与え、写真を見る人にまるで飛行機が飛んているよう に思わせる効果を生み出します。この出口の真上というピンポイントで約 250km/hで着陸する飛行機を400mmという固定された焦点距離で撮影する のはそれなりに難易度の高いものであるなと感じました。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/60
F値:2.8
ISO:5000
編集:Adobe Lightroom Classic
①成田といえばA380ということでANAのA380フライングホヌを撮影しま した。A380はエアバス社の4発機で全席2階建の世界最大の旅客機です。超 望遠レンズはこの迫力を最大限に表現するために最適であり、本写真はこの 魅力を最大限に引き出せていると思います。4つのエンジン全てを写真内に 収められていること、ランウェイライトによってAIRBUS A380の文字が浮 き上がっていること、室内灯のおかげで全席2階建てであることなどから超 大型機であることがはっきりとわかると思います。また本レンズに対し、深 夜の真っ暗な環境において撮影した写真においても高解像度・高コントラス トを維持しているのには感動しました。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/50
F値:2.8
ISO:10000
編集:Adobe Lightroom Classic
②湿度の高い夜にNCA(Nippon Cargo Airline)のB747-8Fを撮影いたしました。成田空港の夜は比較的湿度が高く、下の写真のようにしばしばベイ パーが発生いたします。赤いアンチコリジョンライトがついたタイミングで 綺麗に長くベイパーを引いた機体を撮影することで、ベイパーに反射した光 が暗闇の中でも機体を認識しやすく、かつ、見栄えも良くしてくれます。さ らに、飛行機の陰影もはっきりするので、B747のかっこよさをさらに強調 してくれます。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/50
F値:2.8
ISO:10000
編集:Adobe Lightroom Classic
③ヘリポートポイントでの最後の写真紹介です。先ほどの写真と同じく、 NCA(Nippon Cargo Airline)のB747-8Fを撮影いたしました。NCAは成田 空港を拠点としているので、貨物機の中では比較的多くの本数があります。 ランウェイライトによってできた光の筋によって強調された飛行機の行き 先、エンジンブラストによって滲んでいる背景は飛行機の躍動感をより強調 させます。また、背景にアメリカの航空貨物UPSが写っていることも成田空 港が日本トップの航空貨物拠点であることがわかる写真となっている。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/50
F値:2.8
ISO:10000
編集:Adobe Lightroom Classic
1週間のうちで3日間行き、主に第1ターミナルの展望デッキにて撮影し ました。定番のデッキながらも夜の400mmF2.8での撮影ということで、普 段とは一味違う写真が撮れたと思います。70-200の焦点域では出せない寄 りの迫力のある写真を中心に、その時の写真を4枚紹介させていただきま す。
①南風運用時の福岡空港行きB777-300を撮影しました。アンチコリジョン ライト、NAVライトが全て点灯している状態でピントを合わせることができ たのは非常に嬉しかったです。完璧にピントを合わせた時のこのレンズの描 写力には何度撮っても毎回感動しました。この写真では、NAVライトの明か
りが滑走路に反射し、良い感じに機体を浮き上がらせることができていま す。アンチコリジョンライトがワンポイントのアクセントとなり非常に満足 のゆく出来の写真になったと思います。また、背景の工場夜景の機械的な感 じが飛行機と相まって非常に良い雰囲気を出しています。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/25
F値:2.8
ISO:4000
編集:Adobe Lightroom Classic
②この写真は先ほどのB777-300の切り位置よりも手前側で撮ったB787-8 の写真になります。羽田空港の滑走路には非常に多くの誘導灯があり、少し 切り位置が変わるだけで、流し撮りをした時に背景で流れているライトの表情が大きく変化しているのが見比べていただくとよくわかると思います。背 景はジェット燃料の貯蔵タンクであり、こちらも飛行機と調和しています。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/13
F値:2.8
ISO:2500
編集:Adobe Lightroom Classic
③この写真はデッキ正面のA滑走路を離陸していく飛行機を真正面から撮ったものになります。
先ほどの2枚よりも飛行機までの距離が近いためより迫 力のある写真となっています。また②と同じ設定でありながらも背景を流れる誘導灯の線が長くなっているのもこの影響です。
同じ場所からとっても 様々な構図で撮ることができるため、複数回行ったことのある場所でも毎回新たな発見があるというのが写真の魅力であり、やめられない理由でもあります。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/13
F値:2.8
ISO:2500
編集:Adobe Lightroom Classic
④最後に夏時期では少ない北風運用時に撮影した写真を紹介させていただき ます。①の写真と同じような切り位置ながらもこちらではタッチダウンの瞬 間を撮影することができています。この瞬間を撮影するとメインギアからス モークが出ているのが確認できると思います。アンチコリジョンライトから の赤色の光と誘導灯の青色の光ががスモークに滲んでグラデーションになっ ているのがこの写真のポイントです。レンタル期間中に南風運用時とはまた 違った構図で撮影できたのがよかったです。
設定
焦点距離:400mm
シャッタースピード:1/20
F値:2.8
ISO:2500
編集:Adobe Lightroom Classic
今回、EF400mm F2.8 L IS USMをお借りして、このレンズに対する魅力 がさらに深まりました。ヨンニッパというレンズが素晴らしいことはSNSで 作例を見たり実店舗で実機を触ったりした経験からなんとなくわかっていま したが、今回実際に使用してみてこの素晴らしさをハッキリ理解することが できました。
このレンズがなぜこの価格なのか、なぜプロの方や報道現場に おいてズームのLレンズではなくこのレンズを使用しているのか、ということ もわかったと思います。写真だけを見て綺麗だな、すごいなと思うだけでは 理解することのできないレンズの魅力を発見できるのがこのような企画であり、レンタルさせていただいたアールイーカメラ様には感謝申し上げます。
今後もこのような企画があれば是非とも利用させていただきたいです。この 記事を読んでいただいた方々も、ぜひ自分が気になるボディやレンズなどが あれば店舗で試しに使用してみるだけでなく、実際にレンタルして使ってみ ることを試してみてください。必ず新たな発見があるはずです。
名前:土井 薫平
慶應義塾大学理工学部情報工学科2年
・【慶應義塾大学公認学生団体】カメラクラブ99期
高校2年生の時から鉄道撮影を始め、大学入学と同時に飛行機撮影に移 行。昼の情景的ヒコーキ写真・夜の飛行機写真を中心に撮影している。 Canonのカメラが大好きでEF時代以降の機材はほとんど把握している。最近 はいかにISO感度を下げて撮影できるかということを目標にしており、夜で は自分ができる限りのスローシャッターまで追い込んで撮影することに挑戦 しながら撮影技術を磨いている。また、編集ソフトやプリントにも手を出し ており、これからも写真に関して幅広く知識を深めていこうと思う。
高校2年生の時から鉄道撮影を始め、大学入学と同時に飛行機撮影に移行。昼の情景的ヒコーキ写真・夜の飛行機写真を中心に撮影中。Canonのカメラが大好きでEF時代以降の機材はほとんど把握している。最近の目標はいかにISO感度を下げて自分のできる限界までのスローシャッターで撮影できるかということである。
土井薫平の使用カメラ
土井薫平の使用レンズ