【機材レビュー】RF超広角の雄!プロによる「CanonRF15-35mm F2.8 L IS USM」
【機材レビュー】RF超広角の雄!プロによる「CanonRF15-35mm F2.8 L IS USM」
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Canonがフルサイズミラーレス市場に参入して以来、怒涛の勢いでさまざまなレンズ・ボディが毎年のように発売されています。
そうした中でも「RF15-35mm F2.8 L IS USM」は、RFマウント初の超広角ズームレンズであり非常に質が高く、色々な撮影シーンで役立つレンズです。Canonのミラーレス一眼を持っているなら必携といっていいかもしれません。

今回は、Canon歴14年、カメラ歴16年の筆者が、「RF15-35mm F2.8 L IS USM」を徹底レビュー。
実際に作例写真や機材の写真を提示しながら、本レンズの特徴や魅力を解説しつつ、本レンズならではの楽しみ方に迫っていきます。

「RF15-35mm F2.8 L IS USM」の特徴・性能

「RF15-35mm F2.8 L IS USM」は、Canonより2019年9月27日に発売された、大口径超広角ズームレンズ。
フルサイズミラーレスに参入したCanonが新たに展開しているミラーレス専用マウント「RFマウント」初の超広角レンズで、被写体近くからでも広い範囲をダイナミックに撮影できます。

ズーム全域で開放F値F2.8を実現し、ワイドな範囲を明るく撮影可能です。高級ラインである「Lレンズ」に属することもあって豪華な光学設計となっており、ズーム全域でクリアで抜けのいい描写を実現しています。
こうした特性からも非常に質の高いレンズであることがわかるでしょう。
しかし、ここでは、本レンズのファーストインプレッションとして、特に注目すべき特徴・性能を紹介していきます。

大きく重厚感のあるレンズ

近年のカメラレンズのトレンドは、小型化・軽量化に舵を切っていますが、そのトレンドと逆行するように、本レンズは大きく重厚感があります。
これは実際にみて、手に取ってみるとよりはっきりとわかるでしょう。
EF24-105mmやEF70-200mmと比較すると、その焦点距離に比してとても大きいことがわかるはずです。
これは、もともと大口径であることや豪華な光学設計であることも関係していますが、レンズに最先端
の手ブレ補正機構が搭載されていることが何よりも大きく関係しています。
手ブレ補正効果はテレ端でなんと最大5段分。多少暗い場所であってもブレなく撮影が可能です。

シンプルで洗練されたデザインと操作性・機能性

Canonの高級レンズラインとなる「Lレンズ」の1つということもあって、デザインがシンプルですっきりとしている点も特徴的です。
大口径の超広角ということもあって重厚感がある円柱型で、Lレンズの証である赤ラインにも存在感
があります。
インナーフォーカスが採用されており、ズームをしても鏡筒が伸びることがなく、スペースに無駄が出ません。(ただし、ワイド端にすると少しだけ伸びます)
ズームリング・ピントリングが広めにとられており握りやすく、繊細な感覚に合わせた操作が可能です。
赤ラインの側にはコントロールリングがあり、絞りやISO感度など指定の機能を割り当てることができるので、撮影しながら回すことでより直感的に調整できます。
そのほかは、手ブレ補正ON/OFFスイッチ・AF/MF切り替えスイッチのみとなっており、非常にシンプル。
こちらも、撮影しながらでも操作できる位置に切り替えスイッチがあります。

「RF15-35mm F2.8 L IS USM」の魅力

ここからは、実際に使ってみてより一層わかる、「RF15-35mm F2.8 L IS USM」の性能面・描写面での魅力を掘り下げていきます。

画面端まで描写力が秀逸

実際に使ってみて驚いたのが、超広角でありながらも違和感のない写真に仕上がること、そして非常に鮮明でクリアな写真に仕上がることです。
これは高級ラインのLレンズならでは、新規格であるRFレンズならではの優れた光学設計が大きく関係しています。
「ガラスモールド非球面レンズ」「UDレンズ(低屈折・低分散特性を持ったレンズ)」など最新技術を惜しみなく注ぎ込み、画角の隅々までクリアで抜けのある鮮明な描写を実現。
特殊なガラスを使用して各種収差を良好に補正してくれるので、超広角特有の歪曲収差も最低限に抑えられています。
そのため、超広角で撮影した時の「超広角感」といえるような違和感が最低限でありつつ画面端まで解像力を失うことなく鮮明に写してくれますし、遠近感をよりダイナミックに、広い画角をしっかり写し
てくれるのです。

5段分の手ブレ補正機構を搭載

レンズ内手ブレ補正機構を搭載していることによって、暗所であってもクリアな描写を行える点も魅力といえるでしょう。
手ブレ補正機構の搭載は大きなサイズ感の要因にもなっていますが、性能面では非常に頼もしいアドバンテージといえます。
従来のEFマウントモデルであった「EF16-35mm F2.8L III USM」では手ブレ補正機構が搭載されていませんでしたが、RFになったことでついに手ブレ補正機構を搭載。ズーム全域でF2.8の明るさを維持しながら、最大5段分に相当する手ブレ補正効果を実現することで、室内など暗所での低速シャッター時にも、ブレなく鮮明な撮影が可能になりました。
また、特殊コーティング「ASC」により、逆光撮影時のフレア・ゴーストを大幅に低減していることも、描写力の向上に一役買っています。
これにより、逆光撮影時にも解像力が落ちず、画面の隅々までクリアに描写してくれるのです。

超音波モーター「ナノUSM」によりAF駆動音が非常に静か

大きなボディでありながらも、AF駆動音が非常に静か(ほぼ無音)なのも本レンズの魅力です。
超音波モーター「ナノUSM」は非常に小型のモーターで、静かでありながらも正確で高速なAFを実現
してくれるあたり、性能の高さに信頼がおけます。
ライブ撮影など音に敏感な撮影環境でも全く邪魔にならないほど、駆動音がほとんど鳴りません。
レンズの存在感とは裏腹に、操作する際には非常に静かに操作できるというメリットは、式典やライブなど静かな環境での撮影の際に大きな力になってくれます。

「RF15-35mm F2.8 L IS USM」の作例と楽しみ方

ここからは、実際の作例写真を紹介しながら、本レンズの魅力と楽しみ方に迫っていきましょう。

狭い距離感でも広い画角を抑えられる

本レンズの特徴はやはり超広角ならではの広い画角。かなり被写体に寄っても、広い範囲をしっかりと捉えることができます。
たとえば下の写真は100人キャパの小さなライブハウスの最前列からステージを狙った写真。
ステージが低く最前列との距離もほぼ離れていない状況ですが、ステージ全体を撮りこぼしなく写せており、画面の隅々までクリアに描写されています。

画角が広いので、イベントやパーティーなどの記念写真にも最適です。
EOS Rシリーズのバリアングル液晶を利用して、自撮りでの撮影も可能でしょう。

後方から全体を狙うことでダイナミックな写真を撮ろう

たとえばライブやイベントなどで撮影する場合は、客席後方から全体を引きで抑える際にこのレンズが非常に役立ちます。
歪曲収差が良好に補正されており、広角っぽいわかりやすい曲線を描くことはありませんが、違和感の少ない収差によってしっかりと遠近感やダイナミックさは表現できるのです。
風景でも、引きでしっかり全体を抑えるように狙うことで、このレンズの性能の高さによって表現される絶妙な画角の広さと立体感が、遺憾無く楽しめるでしょう。

ズームレンズなのでボケ味も楽しめる

本レンズは、超広角ズームレンズであり、ズーム全域でF2.8の明るさを持っているということもあって、豊かなボケ味をつけた写真が撮れるということも魅力の一つ。
筆者の場合は別途望遠ズームレンズと併用する用途が多いこともあって、本レンズでは引きのショットや全体を狙う用途が多くなりがちですが、本レンズを楽しむなら、被写体にしっかり寄ってボケ味をつけた写真もぜひ撮ってみましょう。
せっかく優れた光学性能を持っているのですから、マクロ的なモチーフにしっかり寄って撮影するのも乙なものです。
この作例でも、丸く美しいボケ味が幻想感を作ってくれています。

まとめ

今回は、Canon RFマウントの超広角レンズ「RF15-35mm F2.8 L IS USM」について、実際に使用した上で使用レビューとスペック解説、レンズの楽しみ方の解説を行った。
RFレンズ初の超広角レンズでありながら、「RFマウントで超広角といったらこのレンズ」といっていいほどの描写性能を持っています。
かつ、ズーム全域でF2.8の明るさと15mmの画角の広さを持ち、満を時して強力な手ブレ補正も搭載。
それなりの値段はするものの、これ1台あれば大抵のシチュエーションに対応できるといっても過言ではない、あらゆる撮影シーンで頼りになるレンズです。
興味があれば、ぜひ使ってみてください。


Writer:TomiKe(とみけ)
フリーのライブカメラマン(Canonユーザー)。
ライブ撮影歴は今年で16年目。小箱〜Zeppクラスまでライブハウスでの撮影経験が豊富。
近年ではヴィジュアル系バンド・アイドル・弾き語り・SSW(シンガーソングライター)界隈で精力的にライブ・アー写等の撮影を行っている。
2020年・2023年にTV朝日系『激レアさんを連れてきた。』にて撮影したライブ写真が使われるなど、実績多数。

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