
はじめに、急な貸出希望となってしまったにもかかわらず快く対応してくださったアールイーカメラの皆様と、手続きに協力してくださった写真部の皆様に深く感謝申し上げます。
この度は、先輩方からの勧めと自身の好奇心、それから週末の東北旅行に合わせて、本企画に参加させていただくことにいたしました。私が初めてカメラを手にしたのは大学1年生の8月ごろでしたので、カメラ歴は1年と少しです。カメラはSONY α6600を、レンズはE 18-135mm F3.5-5.6 OSSを使っています。まだまだ初心者ですので他社のカメラはもちろん、写真やカメラに知識が浅く、拙い記事と写真ではございますが、お楽しみいただけますと幸いです。
機材を貸出していただくにあたって、星景撮影のために購入を検討していた広角レンズと迷いましたが、中判カメラにとても興味がありましたので、アールイーカメラさんと店頭で相談したのち、この機会に高価な中判カメラを体験してみようと心を決めました。最終的に、FUJIFILM GFX50S IIとGF 32-64 F4 R LM WRをお借りさせていただくことになりました。カメラストラップも併せて貸し出してくださり、大変助かりました。
カメラを手にし、最初に受けた印象はやはりその重さでした。レンズと本体を合わせて普段使っているα6600の二倍以上の重量があり、取り回しやすいとは決して言い難いです。そのうえ焦点距離は35mm換算でおよそ25 – 50mmと、普段と比べてだいぶ画角が限られます。しかし結果的に、その巨大なセンサーはいまだかつてないボケ味と余裕のある写真を堪能させてくれました。

福島県の勿来海岸で撮影した星空です。傾きが気になりますが、35mm換算で25mmという比較的広い画角が活きています。星の色もしっかりと出ておりオリオン座や冬の大三角がよく映っています。

少し移動し、福島県浪江町で撮影した一枚です。当時、レモン彗星の極大が近かったのでカメラを向けました。中央右下にレモン彗星が映っています。5140万画素という高画質センサーのおかげです。下の画像は1955×1466でクロップしたものです。35mm換算51mmで撮影しているにもかかわらず尾を引いていることまでよくわかります。


日の出直後の一枚です。太陽に照らされ明るくなる道路に焦点を合わせたところ、いい感じの前ボケの写真となりました。光のバランスもちょうどよいです。


宮城県松島町で撮った写真です。夜明け空の青からオレンジのグラデーションや雲の奥行や陰影をとてもきれいに正確に描写できています。目で見たそのままの色を捉えることができたと思います。

岩手県平泉町の中尊寺で撮った苔の写真です。適度な奥行きで自然なボケ味が出ています。
解像度が高く、細部まで苔の美しさを感じられます。

岩手県一関市にある鬼死骸停留所です。奇抜な名前から有名になったスポットです。不気味な雰囲気をよく表現できておりそれだけでも味があるのですが、注目していただきたいのはシャッタースピードです。1.5sですが手振れを感じません。借りたときは知りませんでしたが、GFX50S II は6.5段分の手振れ補正を搭載しており、1秒くらいなら簡単に撮れます。写真の幅が大きく広がります。


紅葉を見るために標高を上げ、磐梯吾妻スカイラインに向かいました。吾妻小富士の上からの写真です。眼下の山道を走る車までしっかりと見えています。正面の駱駝山の凹凸感を含め、木々や岩肌までくっきりと見えます。うまく言葉で言い表すのが難しいのですが、このような中判カメラらしい引き締まった繊細な映りは別格です。

せっかくなのでご飯の写真も撮りました。丼にピントを合わせることで、サイドの汁ものと背景をいい感じにぼかすことができ、主役が目立っています。色味や明るさも完璧で、とても食欲を掻き立てられます。


次は宮城県蔵王町の御釜です。先ほどとコメント内容が重なってしまいますが、山肌や火口壁の立体感・無骨さとその荒涼な雰囲気がとても素晴らしく表現できています。中判カメラの醍醐味です。天気があまり良くなかったことだけが残念です。

山形県尾花沢市銀山温泉での一枚です。今回撮った数少ない建築物の写真です。光によってできた明暗にメリハリがあり、暗闇に聳え立つような表現しがたい迫力があります。映えた一枚になりました。


旅行から帰り、場所は横浜です。驚異の手振れ補正性能を生かした手持ち撮影です。テールランプの赤い筋と暗い背景のコントラストが美しいです。

少々わかりにくいのですが、雨の日の赤信号の反射を撮りました。後景の玉ボケと彩度の高い赤色が美しいです。今まで経験したことのないボケ味・質感です。

最後にもう一枚。静岡県小山町の富士山須走口五合目、標高2000mからの一枚です。夜空の黒さに加え、オリオン大星雲やベテルギウス、シリウス、木星の色がしっかりと乗っています。このような写真は撮れたことがなかったので、現像しなくてもここまで美しいものかと驚きました。
α6600以外のカメラをまともに使ったのは初めてで、操作方法やUI、機能の違いなど苦労しながらも楽しむことができました。そしてGFX50S IIを一週間使った感想としてはやはり感動でした。今回こちらの記事に使用した画像はすべて貸し出していただいたカメラとレンズで撮影し、どれも一切レタッチなどを加えていない「撮って出し」のものになります。1週間の貸出期間の間に289枚の写真を撮り、こちらの記事には17枚を使いました。
大学生の予算を考えるとやはりAPSCが身の丈に合っているなと感じてしまうわけではありますが、GFXの重厚なシャッター音のあとに記録される、豊かな色彩・露出バランス・繊細な描画力を兼ねそろえた写真はやはり格別です。F4.0という暗めのレンズでもしっかりと明るさを確保できる手ぶれ補正性能も素晴らしいものでした。
この度は、アールイーカメラさんの協賛のもと、1週間の間、無償で高価なカメラを貸し出していただくという大変貴重な体験をさせていただき、大変ありがたく思っております。改めて感謝申し上げます。
H.Y.
カメラ歴は1年2ヶ月の初心者です 基本的に風景写真をメインに撮っています 目で見たそのままを映すことを心がけています