セルフポートレートを軸に、撮影からモデル、ヘアメイク、スタイリング、アートディレクションまで全てを一人で手がける写真家 Rinatyさん。
SNS総フォロワー10万人を超え、写真集出版や講師活動など幅広く活躍されています。今回は、写真をはじめたきっかけから、作品づくりへの想い、そしておすすめの撮影スポットまでを伺いました。
■ 写真をはじめたきっかけは「焼肉と過去問」
「高専在学中に、写真部の先輩から“入部してくれたら過去問をあげるし、焼肉も奢る”と言われて入部したのが始まりでした。」
軽い動機で足を踏み入れた写真の世界。ところがバイト代を貯めて単焦点レンズとストロボを購入した時、目の前に広がったのはまったく新しい世界でした。
「今まで撮っていたものとは全然違う世界が写って、面白いと思ったんです。そこから一気にのめり込んでいきました。」
■ 写真は「自分の世界を表現する場所」
Rinatyさんにとって、セルフポートレートは自己表現であり、人生を刻むものでもあります。
「写真の中では、どんなものにでもなることができるんです。自分だけの力で、自分の世界を表現できた時、とても達成感があります。」
美しいと感じたものやその時々の感情を作品に込め、
「自分で、自分を好きになるための写真を撮っている。」
そう語ります。撮影は、自身の人生史を残す大切な営みでもあるのです。
■ 愛用カメラとその魅力
Rinatyさんは用途や表現によって、複数のカメラを使い分けています。
FUJIFILM GFX100
大きなプリントをしたい時、フィルムシミュレーションを活用したい時、赤色を美しく表現したい時に使用。防塵防滴性能も心強い。
LUMIX S1RⅡ / S1R
肌色や赤色を美しく表現。オリジナルLUTを使って“撮って出し”でも自分らしい色を実現可能。
Nikon Zf
クラシカルで可愛い外観がお気に入り。お散歩用ながら、ハードな環境にも耐えられる。
SONY α7Ⅳ
軽量で携帯性に優れ、青空を綺麗に写したい時に活躍。
表現したいテーマやシーンに合わせて機材を選ぶ姿勢からは、写真への真摯なこだわりがうかがえます。
■ 忘れられない撮影エピソード
最も印象に残っている撮影を尋ねると、力強いエピソードを話してくれました。
「雪山で星空と一緒に撮影したいと思ったんですが、なかなか天気に恵まれなくて。40kgの荷物を一人で背負って、5回登ってやっと撮影することができました。」
作品への執念と粘り強さが伝わるエピソードです。
■ おすすめ撮影スポットは「北海道」
最後におすすめスポットを伺うと、即答で「北海道」と答えてくれました。
「ロケ地が豊富で、ご飯も美味しい。撮影以外の楽しみも多い場所です。」
自然豊かな景観と多彩なシチュエーションに加え、旅そのものを満喫できる北海道は、まさに撮影者にとって理想的な舞台といえます。
Rinaty さんの作品
■ 写真で人生を残していく
思わず笑ってしまうユニークなきっかけで始まった写真が、今やRinatyさんの人生そのものを表現する手段となりました。
Rinatyさんの言葉からは、セルフポートレートを「自己表現」や「人生史」として残す強い意志を感じました。
カメラを道具以上の存在として捉え、そこに込める思いや挑戦が、見る人の心を揺さぶる作品につながっているのだと思います。
「自分で、自分を好きになるために」──セルフポートレートを通じて自己を探求し、表現し続ける姿勢は、多くの人にインスピレーションを与えています。
